2004 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理に基づくランドスーケープの決定とガラス転移の統一概念
Project/Area Number |
15340139
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小田垣 孝 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90214147)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉森 明 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (90260588)
松井 淳 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (10274424)
|
Keywords | ガラス転移 / 自由エネルギーランドスケープ / 密度汎関数理論 / AC比熱 / 協調緩和領域 / 低エネルギー励起 / ソリトンの共鳴透過 / 主成分解析 / ボロノイ分割 |
Research Abstract |
1.ランドスケープ上のダイナミックスを研究する上で有用と思われる動的密度汎関数法の微視的基礎付けを行った。また、ジャンプ速度の分布を微視的な観点で研究した。 2.エネルギーランドスケープ描象に基づいた、AC比熱の振る舞いを記述した。さらに、2次のAC比熱の概念を提案し、2次のAC比熱の振動数無限大の温度依存性が、系の緩和時間と関係付けられることを示した。 3.結晶の構造変化に対する自由エネルギーランドスケープを計算する枠組みを、ランダムな粒子配置に対して拡張した。ランダムな粒子配置から構造変化したときの自由エネルギーランドスケープを具体的に計算した。計算した自由エネルギーランドスケープから協調再配置領域(CRR)を求めた。 4.高分子モデルによる分子動力学シミュレーションを行い、(1)高分子ガラスの低エネルギー励起の特性長を、動的構造関数の自己相関部分より定義し、特性長の温度依存性を明らかにした。(2)主成分解析を行って、分子運動を早い運動と遅い運動に分離する手続きを定式化した。 5.大、小二種類のディスクを乱雑にパッキングしたときの、空間占有率の濃度及び半径比依存性をシミュレーションで求め、半径比が1から変化すると空間占有率が減少すること、また半径比が大きく異なる領域で濃度の関数として極大値をもつことを示した。 6.昨年開発した自由エネルギーランドスケープ描像による比熱の計算法を用いて、比熱の冷却速度依存性を求めた。実験と定性的に一致する結果を得て、この描像の正しさを示した。 7.調和振動子で結合した二つの戸田格子上のソリトン伝搬を数値的に解析し、ソリトンの透過に、共鳴透過現象が存在することを示した。 8.低温(ガラス転移温度付近)でのCRRの計測。Tg以下でもCRRは温度降下とともに、ほぼ温度に反比例して増大する。 9.CRR計測における任意性をなくすボロノイ分割を、高速計算できるアルゴリズムを開発した。
|
Research Products
(7 results)