2006 Fiscal Year Annual Research Report
成層圏突然昇温現象発生期における力学的上下結合の解明と予測可能性
Project/Area Number |
15340155
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
向川 均 京都大学, 防災研究所, 准教授 (20261349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
余田 成男 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (30167027)
廣岡 俊彦 九州大学, 大学院理学研究科, 教授 (90253393)
黒田 友二 気象庁, 気象研究所, 主任研究官 (80343888)
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Keywords | 成層圏突然昇温現象 / 惑星波 / 極夜ジェット振動 / 大気大循環モデル / 予測可能性 / 環状変動 / 中長期予報 / 成層圏対流圏上下結合 |
Research Abstract |
気象研究所大気大循環モデルを用いた予報実験を行い、Mukougawa et al.(2005;以下M5)で報告された2001年12月に生じた成層圏突然昇温(SSW)の予測可能性について吟味した。その結果、この予報実験でもSSWのオンセット期に、初期値に対する鋭敏性が大きくなることが確認された。また、M5で示された特徴的な帯状風偏差場も、それに引き続いて生ずるSSWと有意に関連していることが確かめられた。この対流圏における帯状風偏差は、北大西洋域でのブロッキング高気圧に伴い形成されており、対流圏から成層圏への惑星波の上方伝播を促進している。さらに、M5の回帰分析の結果得られたSSWの発生と関連する対流圏偏差場の重要性を確かめるために、統計的に得られた回帰パターンに係数を掛けた偏差場をアンサンブル平均に加えて作成した初期値を用いて予報実験を行った。その結果、正の係数を偏差場に掛けた場合、実際にSSWが発生することが確かめられた。このことは、与えた偏差場が力学的にもSSWと関連していることを意味している。一方、成層圏での昇温の大きさは与えた係数の大きさには比例せず、階段関数的に振る舞うことも示された。このことから、SSW発生期間中において、成層圏循環は、対流圏で与えられた初期摂動に対し非線型的に応答することを示唆している。 一方、気象研究所気候モデルを用いて極夜ジェット振動(PJO)が顕著であった冬である2004年と、あまり明瞭でなかった2003年におけるPJOの予測可能性に関する数値実験を開始した。初期結果として、SSWの予測が可能となる初期値以降の期間において、成層圏循環の予測可能な期間は、2003年に比べ2004年は比較的長いことが示された。このことから、成層圏でPJOが卓越する冬季の成層圏の予測可能性は比較的高いと考えられる。
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Research Products
(6 results)