2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340159
|
Research Institution | Meteorological Research Institute, Japan Meteorological Agency (JMA) |
Principal Investigator |
小寺 邦彦 気象庁気象研究所, 気候研究部, 室長 (70343887)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 清孝 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 室長 (50354494)
黒田 友二 気象庁気象研究所, 気象研究部, 主任研究官 (80343888)
関山 剛 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 研究官 (90354498)
|
Keywords | 太陽活動 / 国際研究者交流 / 気候変動 / 太陽紫外線 / オゾン変化 / 成層圏 / 子午面循環 / 大気大循環 |
Research Abstract |
「中層大気大循環モデル国際比較計画(GRIPS)」で集められた大気大循環モデル実験結果、特にベルリン自由大学と共同で実施した実験結果について、観測データと比較し、北半球の冬季に太陽活動の影響が成層圏界面から地面付近まで伝播するプロセスについて詳しく調べた。その結果、成層圏界面付近で生み出された平均流の変化がプラネタリー波と相互作用をすることによって増幅し、その効果が波の上下伝播の変化を通して下方に伝わっていくこと、成層圏の影響が対流圏へ伝わるには対流圏内部の波の南北伝播が変化する必要があること、本研究で見出した「太陽活動周期で北大西洋変動の空間パターンが変化する」現象も太陽周期による成層圏と対流圏の結合の違いから説明できることが分かった。また、太陽周期による上部成層圏での波と平均流の相互作用の変化は平均子午面流の変動を引き起こし、赤道域対流圏界面付近の温度場が変化し熱帯域の積雲対流活動が変化するというもう一つのプロセスがあることが分かった。さらに、このメカニズムにより古気候のデータから示されているインドモンスーンと太陽活動の関係がうまく説明できることを示した。 米国大気研究センターとマックスプランク気象研究所を訪問し太陽周期変動の影響の実験について情報を得ると共に、気象研究所の3次元化学輸送モデルに観測された気象場と太陽紫外線スペクトル変化を与えて化学物質がどのように太陽周期変動の影響を受けているのかを調べた。例えば、成層圏では水酸基ラジカルが数ヶ月のタイムラグを伴う負の応答、メタンは数ヶ月から数年のタイムラグを伴う正の応答を示すが中間圏では応答が逆であることが分かった。 これらの成果は日本気象学会やEGU, AGUなどの学会での発表のほかモデル国際共同実験に関連したGRIPSやSPARCのワークショップで発表し参加各メンバーとの議論を行い国際的な共同研究の進展を計った。
|
Research Products
(6 results)