2003 Fiscal Year Annual Research Report
プレート収束境界における広域変成帯の温度-圧力-変形経路と流動場の解明
Project/Area Number |
15340167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩森 光 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80221795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥海 光弘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10013757)
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Keywords | 沈み込み帯 / 変成作用 / 変形作用 / 3次元変形 / 3次元コーナー流れ / 一軸伸張 |
Research Abstract |
沈み込み帯などの収東境界での力学的・物質科学的現象(例えば、島弧での火成・変成作用、付加体形成・削剥作用)については、場の性格ゆえに直接的な証拠が残りにくく、その機構の多くが定性的にも未解明である。収東境界に出現する広域変成帯は、そのような数少ない直接的な証拠となりうる:収東する2つのプレートの物質的・力学的・熱的な相互作用の結果、地表付近の岩石が一度は地下深部に持ち込まれて変形・変成作用をこうむり、再び地表に露出して広域変成帯が形成されると考えられている。この場合、変成岩の変成温度-圧力条件は、プレート境界の熱的状態を、また流動・変形はプレート間の力学的作用を反映する。本研究では、平成15年度には、まず単純化された流体力学モデルを用いて、後者、すなわちプレート境界の流動と変形の大まかな特徴を洗い出した。用いたモデルでは、2つの剛体プレートに挟まれる力学的に弱く流動する領域(例えば付加体プリズム)を想定し、プレートから受ける力によってどのような3次元流動と変形が起きるかが研究された。この流動領域が2つのプレートとの境界面から受ける力として、速度、境界面に沿ったせん断応力および境界面を通しての物質の流入出が境界条件として指定され、それぞれを組み合わせた通りの数だけ流れ場が存在する。また、沈み込み帯の伸び方向に平行な流れ(その方向には流れ場は変化しないとする)も組み合わせて、さまざまなテクトニックセッティングに対応する3次元流れを再現した。その結果、日本の白亜紀の広域変成帯に広く認められる一軸伸張変形は、45度程度のobliquityをもつ斜め沈み込みに伴う付加ウエッジ中での3次元コーナー流れによってうまく説明できることが分かった。この具体例によって、変形様式の空間分布から広域的な流動場が再現されうることが示された。
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[Publications] Iwamori, H.: "Transportation of water in subduction zones"Geochim Cosmochim Acta. 67. A181-A181 (2003)
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[Publications] Iwamori, H.: "Viscous flow and deformation of regional maetamorphic belts at convergent plate boundaries"Jour.Geophys.Res.. 108. doi:10.1029/2002JB001808 (2003)
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[Publications] 岩森 光: "地殻・マントルの水 -その循環と火成・変成作用-"地学雑誌. 112. 169-170 (2003)
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[Publications] 岩森 光: "プレート収束境界における広域変成帯の流動と変形"月刊地球. 25. 211-216 (2003)
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[Publications] Okamoto, A., Toriumi, M.: "Optimal mixing properties of calcic and subcalcic amphibole : application of Gibbs' method to the Sanbagawa schists, SW Japan"Contrib.Mineral.Petrol.. 146. 529-545 (2004)
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[Publications] 岩森 光: "マントル・地殻の地球化学(第7章を担当執筆)"倍風館. 308 (2003)