2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340174
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 聡 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (10236812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
河田 雅圭 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90204734)
山崎 和仁 神戸大学, 理学部, 助手 (20335417)
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Keywords | 多様性 / 放散 / 種分化 / 競争 / 変異 / 化石 / 小笠原 / 形質開放 |
Research Abstract |
適応放散の生態的、遺伝学的プロセスを明らかにするため、小笠原諸島の陸生貝類カタマイマイ属(Mandarina)を用いて、種間の生態的、遺伝的性質の分化の様子、および種内での生息場所、形態的な分化の様相を調査した。まず化石記録の調査から、父島で5000年のうちに1種のなかに形態的に異なる多型が出現したことがわかった。これは別種かどうかの判断はできないが、同所的種分化の可能性を示唆している。実際、他の現生種で同様な多型があり、マイクロサテライトDNAの分析の結果、任意交配からのずれが認められた。このことは、同所的に生活場所の異なるタイプが分化し、遺伝的な分化が起こりつつあることを示している。またこれらのタイプの生活場所は、それぞれ同所的に生息する別種の生活場所とよく対応していた。以上のことから、カタマイマイ属の適応放散には、同所的種分化が大きな役割を果たしたと考えられる。以上の知見と、分子系統解析の結果から判断して、カタマイマイ属の適応放散は、主に生態的分化によって生じ、生態的な同所的種分化がその主要なプロセスであったと考えられる。このような生態的分化による種分化のため、いったん分化した種が後に生活場所を変化させ、結果的に他種の生活場所と同じになったため、繁殖隔離が消失し雑種化がおきる、というケースが観察された。このように、一時的な種が認められたことは、急速な適応放散の過程では、網状進化が一般的に生じる可能性を示している。
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Research Products
(3 results)