2005 Fiscal Year Annual Research Report
軟体動物の初期発生における外套膜分化と原殻形成の比較形態学・生体鉱物学的研究
Project/Area Number |
15340175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
棚部 一成 東京大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20108640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (70313195)
小暮 敏博 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (50282728)
伊佐治 鎭司 千葉県中央博物館, 地学研究部, 研究員 (40280747)
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Keywords | 軟体動物 / 初期発生 / 原殻 / 胚殻 / 比較形態学 / 生体鉱物学 / 進化 |
Research Abstract |
1.現生二枚貝類の発生と原殻形態に関する研究 分担者の伊左治は、平成15-16年度支援研究員の伊藤泰弘博士と協力して、現生ニオガイ科二枚貝の1種ニオガイ(Zirfaea subconstricta)を対象にして初期発生過程を詳細に追跡し、細胞組織の分化と原殻発達の関係を調べた。受精後14時間を経過したベリジャー幼生初期では、貝殻腺細胞により一様に分泌された有機質のダンベル型原殻が確認された。受精後17時間を経過すると、原殻中央に明確なヒンジ線が形成され、さらに42時間経過後の幼生ではヒンジ線部分が肥厚し上皮細胞と接していることが観察された。この派生段階では閉殻筋が発達し外套膜縁も明瞭に識別された。受精後49時間を経過するとD型のベリジャー幼生となり、原殻の石灰化が進行していることが観察された。以上のことから、ニオガイの発初期には、腹足類やオウムガイ(頭足類)の初期原殻と形態的に類似する1枚の有機質の原殻が形成されることが明らかになった。この成果は近日中に専門誌に投稿予定である。 2.アンモナイト‘化石頭足類)の胚殻構築過程に関する研究 アンモナイト類の胚殻化石の報告例はいくつかあるが、その形成過程については研究者の間で意見の一致を見ていない。代表者の棚部は海外共同研究者のC.Kulicki博士と協力して、ロシアの下部白亜系産の初生的な殻体構造を残したアンモナイトAconecerasの発達段階の異なる胚殻の微細構造を走査型電子顕微鏡により観察した。その結果、有機質殻の付加的成長に始まり、縁辺部から内部への外殻石灰化を経由し、胚殻表面での微小石灰質突起形成と殻縁辺内側での真珠層形成に終わる胚殻構築過程が明らかになった。この研究で示された胚殻発達過程は、従来のどのモデルとも異なるものである。その詳細は、国際誌に投稿予定である。
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Research Products
(6 results)