2006 Fiscal Year Annual Research Report
トカゲ類進化における胴体・四肢の形態変化,適応放散の古生物学的,発生生物学的研究
Project/Area Number |
15340179
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Research Institution | National Museum of Nature and Science |
Principal Investigator |
真鍋 真 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究員 (90271494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪本 美孝 北九州市立自然史, 歴史博物館, 学芸課長 (80359471)
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Keywords | 発生生物学 / 四肢の退化 / トカゲ / 化石 / 適応放散 |
Research Abstract |
(1)桑島層から発見された胴体が伸長した小型爬虫類を新属新種のドリコサウルス類Kaganaias hakusanensis Evans, Manabe, Noro, Isaji and Yamaguchi 2006として英国古生物学会誌に記載した(以下カガナイアスと表記、Evans et al.,2006》カガナイアスはドリコサウルス類の系統では最も基盤的な種に位置づけられる系統仮説が有力であり、産出時代もこれまでで最も古い。ドリコサウルス類としてはヨーロッパ以外での存在が初めて報告であり、同類として海成層以外からの発見も初めてとなった。ドリコサウルス類はモササウルス類(海卜カゲ竜)の姉妹群にあたるトカゲ類で、これまでは白亜紀中頃から後期のヨーロッパの海でしか発見されていなかったため、モササウルス類などの多様で高度な海棲適応の場が白亜紀中頃のヨーロツパの海と考えられていた。また、一部の系統仮説では、ドリコサウルス類が、ヘビ類、さらにモササウルス類に近縁であることから、ヘビの四肢の退化が海生適応だったとする説があった。カガナイアスの存在は、以上の様な適応仮説に再考を求めるものとなった。(2)2005年にモロツコで採集したAgama imperialis, Chalcides polylepis, Chalcides mionectonと、国内業者から入手したEublepharis maculatius, Paroedura pictus, Chalcides ocellatusの6種において、胚の四肢形成レベル、入手のしやすさ、全胚培養の可能性などから実験発生学的な検証に有用な種を検討した。四肢の発生に着目して予察的にステージングをおこなったところ、Paroedura pictus胚は産卵直後にニワトリ胚ステージ12前後に相当する発生状態にあり、その後ニワトリ胚の3倍以上の時間をかけて四肢発生が進む可能性が明らかになった。(3)桑島層のパキコルムス科魚類は、白亜紀前期のProtosphyraenaよりも後期ジュラ紀のソルンフォーフェンから産出しているHypsocormus macrodonに類似している。桑島層のアロワナ科魚類化石は本科の最も古い記録であり、ブラジルのAptianのLaeliichthys ancestralisよりおよそ2500万年古い。恐竜などの爬虫類、単弓類で見られたように、桑島層にはジュラ紀型と白亜紀型の魚類が共存していたことが明らかになった)。
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