Research Abstract |
本年度はマントル内部での親鉄・親銅元素の分布と挙動の総合的解明の第3年度として、白金族元素を含む親鉄・親銅の定量法の開発・改良をおこなった。前年度に引き続き、本研究で設計・試作した、約300℃で試料分解が可能な安価な密閉分解容器(特許申請中)に改良を加えた。 また、四重極型ICP-MSを用いた新しい、Bi、Tl、Inと、Li, Be, Rb, Sr, Y, Cs, Ba, La, Ce, Pr, Nd, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Pb, Th、Uの分析法を開発した。この方法では、Smスパイクを加えて岩石試料を分解しさえすれば、後の希釈を定量的に行なわずに分析できる、ID-IS(同位体希釈-内標準法)を開発し、適用した。試料溶液を0.1ml以下で分析が可能なPseudo-FI法(擬似フローインジェクション法)も開発した。さらに、高分解能型ICP-MS(HR-ICP-MS)を用いて、同一の試料溶液からNa, Mg, Al, P, Ca, V, Mn, Fe, Co, K, Sc, Ni, Cu, ZnやGaが分析できる方法も確立した(Geostandards and Geoanalytical Research誌に投稿、revise版を投稿中)。また、HFS元素分析法にも改良を加え、ID法、ID-IS法と四重極型ICP-MS、およびHR-ICP-MSを組み合わせた、B, Ti, Zr, Nb, Mo, Sn, Sb, Hf, Taの分析法も開発した(投稿準備中)。さらに、かんらん岩帯の岩石試料のLu-Hf年代測定をするために、Lu, Hf分離法と、マルチコレクターICP-MS(MC-ICP-MS)によるHf同位体比精密測定法を確立した(投稿準備中)。 また、従来のOs同位体比測定法はN-TIMSで行なわれているが、これと同程度のパフォーマンス(分析精度1%以下、Os必要量1pg以下)を持つ、マルチイオンカウンティング法を用いたMC-ICP-MS分析法を開発した。この方法はOs同位体比測定にN-TIMSが必要なくなるという、画期的なものである(Analtical Chemistry誌に投稿中)。
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