2005 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界条件下における岩石・鉱物・マグマと熱水間における元素分配実験
Project/Area Number |
15340189
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
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Keywords | 元素分配 / 塩化物水溶液 / 超臨界条件 / 硫化物 / 層状珪酸塩 / 鉄重石 |
Research Abstract |
硫化物、層状珪酸塩および鉄重石を用いて塩化物水溶液との間における多元素(Ni, Mg, Co, Zn, Fe, Mn, Ca)同時分配実験を行った。 (1)硫化物を用いた実験:閃亜鉛鉱と黄鉄鉱に対し1kb、500、600および700℃の条件下で実験を行った。いずれもZn付近を頂点とする急な勾配を持つPC-IR曲線が得られた。ただし、閃亜鉛鉱および黄鉄鉱においてNiは正の分配異常を示した。また、黄鉄鉱ではZnが負の分配異常を示した。これはZnが4面体配位を好むことによる。 (2)層状珪酸塩を用いた実験:緑泥石(1kb、500および600℃)、蛇紋石(1kb、450℃)および滑石(1kb、500、600および700℃)を用いて実験を行った。いずれのPC-IR曲線もMgとCoの間に頂点を持つ。また、共通にNiは正の分配異常を、CoおよびZnは負の分配異常を示す。Coの分配異常はカンラン石では認められず、単斜輝石、角閃石、黒雲母の順に大きくなることが今までの実験によって判っており、この順序は珪酸の重合度の増加に伴うことが予想されていた。今回、層状珪酸塩である上記3鉱物を用いて実験を行ったが、予想通りいずれにおいてもCoの異常は大きく、珪酸の重合度によることが明確になった。 (3)鉄重石を用いた実験:鉄重石に関しては1kb、500〜800℃において実験を行った。求められたPC-IR曲線はFeとMnの間に頂点を持ち、緩やかな勾配を持つ。Niは正の分配異常を、Znは負の分配異常を示し、これは6配位における分配では一般的なことであるが、鉄重石の揚合は、Mgに正の分配異常が認められた。今までに多くの鉱物に対して分配実験を行ってきたが、Mgが分配異常を示す例は初めてである。この要因については今後実験をさらに積み重ねることにより解明していく予定である。
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Research Products
(1 results)