2003 Fiscal Year Annual Research Report
白金族元素組成に基づく分化した隕石の形成過程に関する研究
Project/Area Number |
15340193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
海老原 充 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (10152000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浦 泰嗣 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (90291567)
天川 裕史 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (60260519)
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Keywords | 白金族元素 / ICP-MS / マントル捕獲岩 / 隕石母天体 / 標準岩石 / 汚染 / 核 / 親鉄元素 |
Research Abstract |
研究課題に取り上げる白金族元素は地球化学的に親鉄元素に分類され、地球のような分化した惑星ではそのほとんどが中心部に存在する核の部分に濃集される。従って、核を取り囲むマントルや地殻における白金族元素の濃度はかなり低く、その定量には高感度な分析法が必要となる。本研究では誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)法を用いて、隕石試料中の白金族元素の正確な定量値を求め、それら隕石母天体の形成、分化の過程を考察することを目的とする。本年度は研究の初年度にあたり、ICP-MS法による岩石試料中の微量白金族元素の正確な定量値を求めるための手法の確立を目差した。岩石中の白金族元素の含有量は岩石試料の種類によって大きく異なるが、マントル起源の岩石を対象として分析法を整備した。検討した課題としては、(i)試料の違いによる分析値の再現性、(ii)試料処理に用いる試薬からの汚染の評価、(iii)各種標準岩石試料の分析、を行った。珪酸塩岩石に対して白金族元素はいわゆるincompatible元素であり、岩石中に偏在している可能性が高い。そこで、分析する試料の量を変化させ、得られる分析値の再現性を求めた。その結果、炭素質隕石のように微細な均一試料を調整出来る場合には、mgのオーダーの試料を分析しても再現性の良い分析値が得られるが、マントル捕獲岩の様な試料では、gオーダーの試料を用いても充分な再現性が得られないことが分かった。また、試薬からの汚染を抑えるために、岩石試料に対して試薬の量を抑えて分析することを試みたところ、満足すべき結果を得ることが出来た。さらに数種類の比較標準試料を測定して文献値と比較したところ、多くの元素で誤差の範囲内での一致が認められ、分析法の信頼性を確認することが出来た。次年度はこれらの結果を踏まえて、実際に隕石試料の分析にこの分析手法を適用して、研究の本来の目的に進む予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] X.L.Li, M.Ebihara: "Determination of all platinum-group elements in mantle derived xenoliths by neutron activation analysis with NiS fire-assay preconcentration"Journal of Radio analytical and Nuclear Chemistry. 255. 131-135 (2003)
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[Publications] N.Shirai, T.Nishino, X.Li, H.Amakawa, M.Ebihara: "Precise determination of PGE in a GSJ reference sample JP-1 by ID-ICPMS after nickel sulfide fire assay preconcentration"Geochemical Journal. 37. 531-536 (2003)