2003 Fiscal Year Annual Research Report
2段階レーザーホトリシス法による有機ケイ素化合物の励起状態動力学の解明
Project/Area Number |
15350004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平塚 浩士 群馬大学, 工学部, 教授 (00016156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 幸三郎 東海大学, 開発工学部, 教授 (90087007)
堀内 宏明 群馬大学, 工学部, 助手 (00334136)
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Keywords | 有機ケイ素化合物 / 2段階レーザーホトリシス / 励起状態動力学 / ポリシラン |
Research Abstract |
2段階レーザーホトリシスシステムの構築 新規に購入したLOTIS TII社製ダブルパルスNd^<3+>:YAGレーザーシステムと既存のUNISOKU TSP601Hナノ秒レーザーホトリシスシステムを組み合わせることにより,2段階レーザーホトリシスシステムを構築した.このシステムにおいては,二つのレーザーパルス(パルス幅:6-8ns,パルスエネルギー:330mJ@532nm,120mJ@532nm,90mJ@266nm)をナノ秒オーダーの遅延時間を設けて試料に照射できる.このシステムでは,(1)一段階目のレーザー光照射により励起三重項状態やラジカルなどの過渡種を生成させる.次に(2)二段階目のレーザー光照射によりそれらの過渡種を励起して過渡種の発光スペクトルを測定する二段階励起発光測定と,過渡種の励起により光化学反応を引き起こし,その結果として生成する化学種の吸収スペクトルを測定する二段階励起吸収測定の二種類の測定が可能である.このシステムを用いることにより,二光子吸収過程によって生成する反応中間体の吸収スペクトルを測定することが出来ることを確認した. 有機ケイ素化合物の励起状態動力学の研究 側鎖にp-ニトロベンゼンを導入したポリ(メチルフェニルシラン)を合成し,その光物理・光化学過程の研究を行った.ポリシランの蛍光の量子収率は側鎖であるアゾベンゼンの導入量を増加させると減少した.このアゾベンゼンによるポリシランの蛍光消光過程をピコ秒蛍光寿命測定により研究した結果,消光過程はエネルギー移動過程だけでは説明できないことがわかった.そこで低温光分解実験を行った結果,ポリシランの光励起により生成したアゾベンゼンのアニオンラジカルを観測することに成功した.この結果,ポリシランを光励起すると励起一重項状態においてアゾベンゼンに電子移動反応が起こることが明らかとなった.この成果はBulletin of the Chemical Society of Japan (Vol.76,2003 p.961-969.)に報告している.またこの励起状態電荷分離状態はナノ秒過渡吸収スペクトル測定では検出できないことから素早く再結合を起こし基底状態へ戻ると考えられる.このことから側鎖にアゾベンゼンを導入することによりポリシランは耐光性が向上することが明らかになった.この成果については投稿準備中である.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] C.Zhao, H.Horiuchi, T.Okutsu, S.Tobita, S.Takigami, H.Hiratsuka: "Photophysical and Photochemical Processes of Poly(methylphenylsilane) Functionalized with Pendant p-Nitroazobenzene Groups"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 76巻・5号. 961-969 (2003)