2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 敬 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10164211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 佳哉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30311187)
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Keywords | 気相負イオン反応 / クラスター負イオン / 赤外光解離分光 / ab initio計算 / 角度分解光電子分光 |
Research Abstract |
本研究は,気相の分子集合体(分子クラスター)が電子をトラップする性質や,柔らかい構造によって容易に分子を取り込む性質をもつことを利用し,分子クラスターをミクロなフラスコとして用いる新規な気相負イオン反応を開発することを目的としている.本年度は以下の研究を行った. 1.赤外分光による(CO_2)_n^-(H_2O)_mの評価:これまでの研究によって,(CO_2)_n^-(H_2O)_mが・CO_2^-ラジカル負イオンの等価体としての反応性を持つことを実験的に示した.そこで,赤外光解離分光を用いて(CO_2)_n^-(H_2O)_mの振動構造を調べ,ラジカルイオン反応試剤としての構造の特徴を明らかにした.これにより,m=1の系では・CO_2^-あるいはC_2O_4^-に対してH_2O分子が等価な2つの水素結合を形成すること,(n,m)=(3,2)の系では・CO_2^-と2つのH_2O分子が環状構造を形成することなど,サイズや組成比によって(CO_2)_n^-(H_2O)_mの溶媒和構造が大きく異なることを明らかにした. 2.ab initio計算による(CO_2)_n^-(H_2O)_mの評価:MP2/6-311++G(d,p)レベルの分子軌道計算によって,(CO_2)_n^-(H_2O)_mの幾何構造・電子構造を推定した.(n,m)=(1,1)〜(3,2)の系について総計80個を越える構造異性体を見出し,その安定化エネルギー,垂直電子脱離エネルギーを評価した.さらに振動解析を行い,赤外光解離スペクトルとの比較を行った. 3.画像観測による角度分解光電子分光装置の開発:気相イオン反応に関与する負イオン種およびクラスター負イオンの電子構造,特にSOMO (singly occupied MO)の対称性に関する情報を得るための実験手段として,二次元画像観、による角度分解光電子分光装置を開発し,その調整を行った.
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Research Products
(2 results)