2003 Fiscal Year Annual Research Report
自由エネルギー勾配法に基づいた反応ダイナミクス理論の新展開
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15350010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長岡 正隆 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50201679)
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Keywords | 自由エネルギー勾配法 / QM / MM-MD法 / 自由エネルギー摂動法 / 自由エネルギー曲面 / 分子動力学法 / ミクロエントロピー効果 / 構造最適化 / 温度・圧力効果 |
Research Abstract |
(1)文献調査: 実験・理論両面の論文等の調査により、概念的整備をすると共に現実的反応系を探索して、対象となる化学反応系全般に関する実験結果や実験データの収拾を行なった。さらにピコ秒・フェムト秒分光学の実験的成果の理解を深めると共に、不均一系に対する非平衡統計力学の手法を再考・吟味して、現存する限定的理論のミクロ理論への拡張可能性を徹底的に探求した。 (2)自由エネルギー面上の安定状態と遷移状態の最適化アルゴリズム開発: 自由エネルギー面上の安定状態と遷移状態を正確に求めて、溶媒和構造と分光学的性質を調査した。そのために興味ある有機反応、例えばアンモニア分子の溶解過程などを例に、モンテ・カルロ(MC)計算、MD計算と統計摂動法とを組み合わせて自由エネルギー面上の力場を計算し自由エネルギー勾配法のアルゴリズムのコード化をすすめた。同時に溶液中の安定状態や遷移状態を同定した。その際に必要となる、大規模コンピュータ計算のポスト処理を、本助成で購入予定のソフトウエアの支援の下で行った。また計算ルーチン群と可視化アプリケーションとの統合化をすすめ、統一したグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)からの利用が可能になることを目指した。中間的な報告を2004年3月に開催された「2004日本化学会春季年会」において発表した。 (3)ランジュバン方程式とフォッカー・プランク方程式による反応エネルギー移動解析: 一方、実験との比較検討が可能である溶液化学モデル反応系に対して、溶媒分子群の確率密度分布に平衡性を仮定した、反応座標と分子内熱浴座標についての二次元連立ランジュバン方程式に基づいた数値的解析を予定したが本年度中の研究成果としてはほとんど得られていない。次年度に向けて汎用コンピュータ・プログラムの開発を続け、今年度購入した並列コンピューティングシステムの支援の下に実行し、得られた予測結果を実験結果と比較吟味したい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Nagae, Y.Oishi, N.Naruse, M.Nagaoka: "Hydrated Structure of Ammonia-Water Molecule Pair via the Free Energy Gradient Method : Realization of Zero Gradient and Force Balance on Free Energy Surfaces"Journal of Chemical Physics. 119・15. 7972-7978 (2003)
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[Publications] M.Nagaoka: "Structure Optimization of Solute Molecules via Free Energy Gradient Method"Bulletin of The Korean Chemical Society. 24・6. 805-808 (2003)