2005 Fiscal Year Annual Research Report
集積型酸化還元系が発現する複合機能の探求と単一分子メモリへの展開
Project/Area Number |
15350019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 孝紀 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70202132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 憲秀 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20222268)
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Keywords | 分子素子 / 酸化還元系 / 単一分子メモリ / 動的酸化還元 / 動的液晶相 / 有機ゲル / ポリカチオン / 電子供与体 |
Research Abstract |
代表者は、電子移動と結合の組み替えがカップルした「動的酸化還元挙動」に着目し、この独自の概念に基づく分子応答系の構築を行ってきた。本課題の目的は、様々な応答機能や特性を有する分子群についてのこれまでの成果を踏まえ、応答系を分子素子へと展開しようとする際の新しいパラダイムの創出することである。期間内での実現を目指した内容は以下の3つである。それらは(1)「動的」挙動を示す電場応答性分子を二次元に集積し、超高密度記録材料を構築するという「単一分子メモリ」の概念を提案し、そのプロトタイプを提示すること;(2)分子集積化に利用できる「新規な超分子リンカー」を探求し、それを基板表面修飾法として利用すること;(3)電子移動とカップルした結合の組み替えが、凝縮相全体の相転移を誘起する「動的液晶相」の創成を行うこと。最終年度となる本年は、それぞれについて集約的な研究を進めるとともに、(3)に関連した研究を大きく展開させた。即ち、パイ骨格の遠隔位に2つのビス(4-ジメチルアミノフェニル)エテニル基を導入した一連の電子供与性化合物の合成を行い、これらが二電子酸化に際して、分子間C-C結合形成によりオリゴマーポリカチオン種に変換されることを見いだした。これらは、還元によって元の電子供与体を再生するため、酸化還元によって可逆なモノマー-オリゴマー変換の起こる系になることが示された。更に、4-ジメチルアミノフェニルを、より長鎖アルキル基を持つアミノフェニル基へと置換することで、ゲル相も現れることを見いだした。そのため、これらの化合物は、バルク凝縮相のマクロな挙動を酸化還元によって制御できる系として興味深い。
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Research Products
(6 results)