2005 Fiscal Year Annual Research Report
フィトクロムの構造と機能解明のための有機合成化学的アプローチ
Project/Area Number |
15350021
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
猪股 勝彦 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (50110599)
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Keywords | フィトクロム / ビリン系発色団 / テトラピロール化合物 / 立体化学固定型発色団 / 全合成 / アポ蛋白質との再構成 / 構造と機能 / 光可逆性 |
Research Abstract |
植物内に存在する光受容色素蛋白質フィトクロムは,生理学的に不活性で赤色光吸収型のPrと,生理学的に活性で遠赤色光吸収型のPfrとの間で可逆的に相互変換することにより,植物の発生や成長・分化などの様々な光形態形成を制御する上で重要な役割を果たしている。本研究では,発色団の構造と再構成フィトクロムの機能との間の相関や,アポ蛋白質と発色団との相対的配置ならびに相互作用などを解明することを目指し,とくに本年度はある種のバクテリア中に最近見出されたビリベルジン(BV)型発色団の構造と機能に関する有機合成化学的アプローチを試み,次のような研究成果を挙げることができた。 1.フィトクロムアポ蛋白質と結合可能な側鎖カルボン酸が遊離のビリベルジン(BV)誘導体の高効率的な合成法を開発した。 2.光学活性な発色団を合成するために,酒石酸エステルを不斉源として活用する高効率・高エナンチオ選択的な不斉合成反応を開発した。 3.フィトクロム発色団のCD環部分の立体化学を固定したBV誘導体を合成し,再構成して得られたホロ蛋白質のスペクトル測定等により,Pr型発色団の15位の立体化学はZ-anti,Pfr型はE-antiであることを世界で初めて直接的に解明した。 4.15位をZ-antiで固定した発色団とアポ蛋白質を再構成させて得られるホロ蛋白質の良質な単結晶を得ることに成功し,X線構造解析を目指して大きく前進した。 5.さらに発色団のAB環部分の立体化学を解明するために,AB環部分の立体化学を固定したBV誘導体の合成に成功した。今後,バクテリオフィトクロムAgp1のアポ蛋白質と再構成し,CD環の場合と同様に5位の立体化学を解明することが可能になった。
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Research Products
(8 results)