2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350025
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深澤 義正 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50004502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 啓 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80304393)
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Keywords | 化学シフト計算法 / ポルフィリン環電流効果 / テトラフェニルポルフィリン / 誘起磁気遮蔽効果 / 新規不斉補助基 / 二級アルコール体絶対配置 |
Research Abstract |
化合物の詳細な構造を解明することは、その化合物がもつ特異な機能を理解する上で不可欠である。機能と構造との相関が解明できれば、より高次の新しい機能をもった分子を設計することが可能となる。このように構造の知見は機能の理解、予測、設計などに重要である。我々はNMR化学シフト計算法を確立し、任意の構造に対する理論的な化学シフト値を正しく求め、それを用いてフレキシブルな化合物の動的な配座平衡の解析を行うため、化学シフトを用いる解析法を開発した。われわれは化学シフト値の構造依存性は分子内に存在する芳香環、多重結合やヘテロ原子を含む官能基などからの誘起遮蔽効果を見積もる方法により求めている。今回,本研究ではキラルな二級アルコールの絶対配置の決定に化学シフト計算法を適用し,メントールをはじめとする各種のキラルな二級アルコール体とのエステルを合成し,新規不斉補助基がキラルな二級アルコール体に及ぼす誘起磁気遮蔽効果を求めた。この誘起磁気遮蔽効果を再現すべく,新規不斉補助基をもつエステル体について分子動力学計算を行い、そこから得られる動的構造を用いて化学シフト計算法により誘起シフトを計算したところ,実測の誘起磁気遮蔽効果をよく再現し,計算法によるキラルな二級アルコール体の絶対配置を決定することに成功した。さらにポルフィリンの環電流効果に基づく誘起遮蔽効果を見積もる手法を新たに開発し,テトラフェニルポルフィリンのSn(IV)と各種のカルボン酸による錯体の溶液中の構造を解析することに成功した。ポルフィリンは生体内酵素として重要な働きをすることが知られているので,今回の成功は含ポルフィリン触媒の作用機構を実験から求める一つの手がかりになるものと期待される。
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Research Products
(6 results)