2004 Fiscal Year Annual Research Report
不安定ケイ素およびゲルマニウム化学種を配位子とする遷移金属錯体の研究
Project/Area Number |
15350030
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上野 圭司 群馬大学, 工学部, 助教授 (20203458)
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Keywords | シリレン錯体 / シリル(シリレン)錯体 / タングステン錯体 / モリブデン錯体 / 鉄錯体 / シリリン錯体 / 転位反応 / 多核錯体 |
Research Abstract |
(1)昨年度の研究によって,Cp^*M(CO)_3Me(M=Mo, W, Cp^*=η-C_5Me_5)とかさ高いMes基を有するヒドロジシランHSiMe_2SiMeMes_2(Mes=2,4,6-Me_3C_5H_2)の混合物を光照射すると、塩基の配位していないシリル(シリレン)錯体Cp^*M(CO)_2(=SiMes_2)(SiMe_3)が得られることを明らかにした。そこでもう一つの6族金属であるクロムを中心金属とする錯体を合成すべく,Cp^*Cr(CO)_3Meとの反応を行った。しかし,期待に反してシリル(シリレン)錯体は全く得られず,二量体錯体[Cp^*Cr(CO)_2]_2が得られた。 (2)シリル(シリレン)モリブデンおよびタングステン錯体とN, N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)との反応を検討した。モリブデン錯体ではケイ素上の置換基が分子内1,3-転位してシリレン配位子にDMAPが配位した錯体Cp^*Mo(CO)_2(=SiMesMe・DMAP)(SiMesMe_2)が生成した。一方,タングステン錯体の場合は,対応する塩基が配位したシリル(シリレン)錯体は全く得られず、錯体が分解して生成したと考えられる二量体錯体[Cp^*W(CO)_2]_2が得られた。この反応性の違いは,シリル(シリレン)錯体に於けるケイ素上の置換基の分子内1,3-転位の起こりやすさの違いを反映していると考えている。現在,他のルイス塩基との反応を行っている。 (3)嵩高いアミノ基をケイ素上に有するトリヒドロシラン(Me_3Si)_2NSiH_3と鉄錯体CpFe(CO)_2Meとの反応を行った。この反応は,シリレン架橋鉄二核錯体を得ることを期待して行ったが,得られたのはシリリン架橋鉄三核錯体Cp_3Fe_3(CO)_4SiN(SiMe_3)_2であった。シリリン架橋錯体の例は非常に少なく,その構造,反応性には興味が持たれるため,現在詳細な検討を行っている。
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Research Products
(2 results)