2004 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属アクア錯体触媒を用いたpH連続制御による人工アミノ酸合成法の開発
Project/Area Number |
15350033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小江 誠司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60290904)
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Keywords | 水中 / 環境対応 / 触媒・化学プロセス / ヒドリド錯体 / 錯体化学 / 水素 / 還元 / 反応制御 |
Research Abstract |
これまでに数多くのアミノ酸合成法の開発・研究がなされてきたが、まだ多くの問題点を抱えている。例えば、アルデヒドからシアノヒドリンを生成させるストレッカー法は、シアン化物(HCN、NaCN)を使用するため、安全性および廃棄物処理などの問題が存在する。それに対して、アミノ化合物を窒素源、ヒドリド化合物を水素源として用いるアルファ-ケト酸の還元的アミノ化反応は、アミノ酸が自然界で生合成される経路と非常によく似ていることから、これまで多く研究されてきた。しかし、自然界と同様にアンモニアを窒素源として用い、水溶媒中における触媒的なアルファ-ケト酸の還元的アミノ化反応は報告されていない。本研究では、水中でプロトンとは反応しないが、アルファ-ケト酸と反応する遷移金属ヒドリド錯体を合成し、それを触媒とするアミノ酸合成法を開発した。その結果、アクア錯体とギ酸との反応により、水中、pH5-7で安定なヒドリド錯体(1)を合成した。錯体1を触媒とする、ケト酸の還元的アミノ化反応を水中、80℃で検討した(1/ケト酸/アンモニア/ギ酸=1/200/4000/4000)。その結果、アミノ酸がpH5-7で選択的(78-97%)に生成することを見い出した。アミノ酸がpH選択的に生成する理由は、反応中間体であるイミノ酸の生成がプロトンおよびアンモニアの濃度に依存し、さらに錯体1の安定性がpHに依存するためである。また、窒素源として(15)NH_3を水素源としてDCOONaを用いることにより(15)Nと(2)Hのダブルラベリングを触媒的に行なうことに成功した。
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Research Products
(7 results)