2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様なリン配位子架橋を利用した反応性多核金属錯体の創製
Project/Area Number |
15350035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三吉 克彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60033924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 勉 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70221603)
久保 和幸 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90263665)
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Keywords | ビスCpホスフィン / ヘテロ2核錯体 / 鉄 / ツビッターイオン錯体 |
Research Abstract |
シクロペンタジエニル配位子(Cp)をアンカーとした架橋配位子は、2つの金属中心を安定に架橋するという目的に適している。この観点から、2つのCpを14族の炭素やケイ素原子で連結したのもが、数多く報告されてきた。一方、連結部を15族のリンとしたものの例は、きわめて限られている。しかしながら、リン上のローンペアへは、第3の金属原子を結合させることができるため、架橋構造の多様性をさらに高められると期待できる。このような観点からリン上に2つのCp基をもつ架橋配位子系を研究課題とした。 P(=S)Ph架橋[1]フェロセノファンを,リン配位子L(P(OMe)_3 PMe_3 P(OMe)_3Ph)の共存下で光照射するとCp環の1つが鉄から外れ,Lを取り込んだ錯体を与えた。この外れたCp環へM(CO)_3(NCMe)_3(M=Mo,W)と反応させると、2つのCp環がリンで連結された鉄-Mヘテロ2核錯体が得られた。X線構造解析により構造を確認すると、新たにアニオンの3脚ピアノ椅子型モリブデンあるいはタングステンフラグメント(CpM(CO)_3^-)が形成されたことが判った。鉄周りは、Cpと2つのLに加えてP=Sがペンダント配位しカチオンユニットととなっていた。 ここで、ペンダント配位しているP=S付近の構造をに着目するとP=S-Fe-C(Cp)からなる4員環を形成していることになる。この歪んだ4員環構造は、その立体ひずみのため、容易に開環すると思われる。実際にこれらの錯体をアセトニトリルに溶かすと、ペンダントS配位子は、徐々にFeから解離し、代わりに、アセトニトリルが配位することがわかった。
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Research Products
(5 results)