2004 Fiscal Year Annual Research Report
液中微粒子のレーザー光泳動における光熱変換協同効果に関する研究
Project/Area Number |
15350042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
文珠四郎 秀昭 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (80191071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡會 仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30091771)
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Keywords | レーザー光泳動 / 光熱変換 / マイクロエマルション / Soret効果 / 熱浸透 / 微粒子 / 赤血球 |
Research Abstract |
照射レーザー波長に吸収をもつマイクロエマルション液滴の水中での光熱変換光泳動挙動について実験、解析を行なった。マイクロエマルション液滴は、レーザー進行方向に光泳動しながら膨張・収縮を繰り返すという特異な挙動を示す。この特異運動の機構には光熱変換効果が大きく関与しており、(1)液滴内部での温度勾配生成とSoret効果によるマイクロエマルション相の相分離、(2)液滴内部と外部水相の温度差生成と熱浸透による外部水相の液滴内への取り込み、が大きな要因であると考えられる。液滴の膨張過程についてシミュレーションを行い、上記(2)の機構により実験結果を定量的に再現できることがわかった。また、膨張液滴の収縮過程については、高速度カメラを利用した観測から薄膜化したマイクロエマルション層の破裂によることがわかった。 光吸収性液滴のレーザー照射による光熱変換効果についてキャピラリーに保持した蛍光色素を含む液滴にレーザーを照射し、蛍光強度の変化から液滴内の温度を見積もった。その結果、液滴の温度上昇はレーザーの入射側に比較して出射側の方が大きいことがわかった。この温度分布の不均一性は、液滴自身のレンズ効果によると考えられる。この結果は、以前に我々が観測した光吸収性液滴における泳動方向の反転現象がレーザー照射による液滴の前方と後方における温度差が原因であることを示唆している。さらに干渉縞を利用した液滴周囲の温度マッピングについても基礎検討を行った。 また、液中生体微粒子である血球細胞についてレーザー光泳動挙動を観測した。光泳動速度は白血球に比べ、赤血球が15倍程度大きいことがわかった。赤血球はレーザー波長に吸収をもつため、泳動効率が高いこと、光熱変換により媒体の粘度が低下することが原因であると考えられる。この結果より、光熱変換光泳動により血液中の赤血球を他の血球細胞と分離できる可能性を示した。
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Research Products
(2 results)