2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南方 聖司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90273599)
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Keywords | 環境調和型有機合成 / 無機多孔質 / シリカゲル / 水 / MCM-41 / アジリジン / オレフィン / クロラミンT |
Research Abstract |
本質的にシリカゲル表面と有機物質との間には静電的な相互作用が働く。この状態に水が存在すれば、反応物質が系内に均一に分散するだけでなく、水との静電反発によりシリカゲル表面への吸着が促進される。従って、水-無機多孔体系による環境低負荷型の有機合成反応が実現可能であると考えた。本年度は、シリカ-水系を反応場とするアジリジンの合成について精力的に検討した。 触媒量のヨウ素存在下、クロラミンTの水溶液にシリカゲル(0.5g)を添加し、化学量論量のスチレンを加えて、室温で3時間撹拌した結果、若干量ではあるがアジリジンが生成することを見出した。この場合、アジリジンの前駆体と考えられるβ-ハロアミノ体が副生したことから、塩基として炭酸カリウムを添加したところ、目的のアジリジンのみを32%の収率で得ることに成功した。さらに、4当量のクロラミンTを用いることにより、収率を70%に改善でき、中性の球状シリカゲル(Silica Gel 60【○!R】)を用いた場合には85%の収率でアジリジンへと変換できた。一方、近年注目を集めている多孔質系素材の一つであるMCM-41を用いた場合には、使用するクロラミンTの当量およびシリカの量を半減させても同様に効率良くアジリジンを得ることができた。これは、MCM-41が非常に大きな比表面積を有するためであると考えられる。以上のように、シリカゲルが水中でのクロラミンT-ヨウ素系によるオレフィンのアジリジン化反応に有効な添加剤であることが判明した。 本反応は、スチレンのみならず、脂肪族オレフィンにも適用可能であることも明らかにした。また、ヒドロキシル基のような官能基を有するオレフィンも容易にアジリジンへと変換することに成功し、その官能基がシリカ表面に吸着する能力が反応性に影響を及ぼしていることを見出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Satoshi Minakata: "Development of New Synthetic Methods of Heterocycles Using Chloramine-T as a Nitrogen Source"J.Synth.Org.Chem.. 61・7. 706-714 (2003)
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[Publications] Satoshi Minakata: "Introduction of an NI Unit to Monoenes or 1,6-Dienes Using Chloramine-T-Silver Nitrate : a New Route to Aziridines or Bicyclic Pyrrolidines"Heterocycles. 60・2. 289-298 (2003)