2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350063
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
野上 潤造 岡山理科大学, 工学部, 教授 (70109742)
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Keywords | allyl-transfer reaction / asymmetric synthesis / homoallylic alcohol / [3.3]-sigmatropy / Katsuki-Sharpless AE |
Research Abstract |
ケトン(R^1COR^2)とアリル金属試薬(R^3CH=CHCH_2M)3との反応によってγ付加体ホモアリル型アルコール(R^1R^2C(OH)CHR^3CH=CH_2)1が立体選択的に得られる.1は、酸触媒存在下でアルデヒド(RCHO)と反応し相当するヘミアセタール(RCH(OH)OCR^1R^2CHR^3CH=CH_2)H_1続いてオキソカルベニウムイオン中間体,さらにその最安定6員環イス型遷移状態TS_1を経由する[3.3]-シグマトロピー転移によるアリル移動反応(allyl-transfar reaction)を経てα-付加体ホモアリル型アルコール(RCH(OH)CH_2CH=CHR^3)2を生成する反応を発見した. 本反応は立体特異的に進行し,光学活性1からはその光学純度を100%保持して光学活性2が得られることを明らかにした.本反応を応用し,不斉補助剤として光学活性メントンを用いるアルデヒドの簡便な不斉2-アルケニル化反応を開発した.光学活性メントンは,安価で光学的に純粋なメントールの両鏡像体を酸化して容易に得られることから2の両鏡像体のいずれをも必要に応じて自由に合成することができる簡便な手法を開発できたことになる.メントン誘導体アリル供与体1は,メントンに任意のGrignard試薬3(M=MgCl)を反応させて収率良く調整できることから,従来の不斉アリル化反応アリル供与体として汎用されたアリルスズ試薬に比べ環境調和型反応と言える. これらの光学活性α-付加体ホモアリル型アルコール2を用いるPrins環化反応によって光学活性2,3,4,6-4置換テトラヒドロピラン誘導体の簡便な合成法を確立した. また,Katsuki-Sharpless AEによって得られる光学活性エポキシドを経由して,Me_2C(OH)C^*H(CH_2OBn)CH=CH_21bを簡便に調製する方法を確立した.1bを用いるアルデヒド(RCHO)へのallyl-transfer反応によって収率良く光学活性E-4-benzyloxybut-2-enyl化生成物(RC^*H(OH)CH_2CH=CHCH_2OBn)が得られることを見出した.γ-位に脱雛基(Y)を有するMCH_2CH=CHCH_2-Y(Mは金属)型の求核剤の調製はE2脱離が優先するため不可能であるが本反応は求核的な反応ではなくallyl donor 1bによる最安定6員環イス型遷移状態を経由するシグマトロピックな反応であるため全く問題なく炭素延長反応が進行する.この手法の展開によって,アルデヒドの不斉Z-4-benzyloxybut-2-enyl化など,従来法(求核的付加反応)では不可能であった種々の(アルデヒドへの)アリル化に成功した.
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Convenient synthesis of highly optically active 2,3,4,6-tetrasubstituted tetrahydropyrans via Prins cyclization reaction (PCR) of optically active homoallylic alcohols with aldehydes2006
Author(s)
Kataoka, K., Ode, Y., Matsumoto, M., Nokami, J.
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Journal Title
Tetrahedron 62
Pages: 2471-2483
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