2003 Fiscal Year Annual Research Report
結晶相重合による構造規制された有機高分子/金属酸化物クラスター複合体の創製
Project/Area Number |
15350064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小西 克明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (80234798)
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Keywords | 有機 / 無機ハイブリッド / 固相重合 / ホスト-ゲスト相互作用 / ヘテロポリ酸 / カリックスアレーン |
Research Abstract |
有機物と無機金属種のハイブリッド物質は、無機金属種の触媒活性、材料特性と、有機化合物がもつ構造的柔軟性、設計の自由度、などの特長をあわせ持つことから、機能性物質のbuilding blockとして、近年大きな関心を集めている。本研究では、構造明確なハイブリッド設計の指針として、無機金属種と有機モノマーからなる複合結晶を作製し、そこでモノマーを固相重合させることにより、構造が規制された「有機ポリマー/金属クラスター複合体」を創製し、物質変換触媒や分離材料に応用することを目的とした。 本研究では、無機金属種としてヘテロポリ酸類(前周期遷移金属の酸化物クラスター)と中性の有機ホストであるカリックスアレーン誘導体の組み合せに注目し、ヘテロポリ酸の対カチオンのホストによる包接型相互作用を用いて両者を複合化させた。本年度は、有機ホストの構造と得られる複合体の固体高次構造の相関関係、基礎的物性を重点的に調べた。その結果、カリックスアレーン側の構造に依存して、単分子膜様構造(両コンポーネントがそれぞれカラム状にスタックして2次元平面上に配列)やミクロポーラス構造など多様な固体超構造が得られることを見いだした。さらに、ミクロポーラス構造をもつ複合体について、ガス吸着特性を調べたところ、通常のバルクのヘテロポリ酸とは異なり、水よりもメタノール、エタノールなどのアルコール類に対して高い親和性を示すことを見いだした。細孔の壁を構成している親水性の無機アニオン(ヘテロポリ酸)部位と疎水性の有機(カリックスアレーン)部位の協同的作用の結果であると考えられる。さらに、シンナミル基など固相重合性官能基を導入したカリックスアレーン誘導体の合成も並行して行い、それを用いた複合結晶の作製についても検討した。
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