2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子ダイポール工学による分子ナノワイヤを通しての電子移動の制御
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15350068
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 俊作 京都大学, 工学研究科, 教授 (80150324)
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Keywords | らせん形成ペプチド / 電子移動 / 分子デバイス / 分子メモリ / 自己組織化膜 / 光電変換 / STM / ダイポール |
Research Abstract |
1.12量体のらせん形成ペプチドを金基板上に垂直配向で固定化し、STM観察を行った。N末端側で固定化した場合、STM観察で-1.3Vの条件下で3_<10>ヘリックスに帰属できる明るいドットがイメージできた。バイアス電圧を+1.5Vにすると、明るいドットは消失し、αヘリックスに構造変換した。ヘリックスのダイポールとSTMチップとの静電相互作用により、ヘリックスペプチドのタイプを、バイアス電圧を変えることでスイッチできることが示された。 2.25量体の疎水性らせん形成ペプチドの末端にクラウンエーテルを結合し、Pb(NO_3)_2水溶液上に展開して単分子膜を形成した。この単分子膜は金基板上にPb^<2+>イオンとともにトランスファーでき、硫化水素処理によりPbSの二次元ネットワークを調製できた。膜厚は2.4Åであり、STS測定よりバンドギャップが広く、半導体の性質を示した。 3.末端にフェロセンユニットを結合した18量体ペプチドを数種類合成し、金基板上に自己組織化単分子膜を調製して、クロノアンペロメトリー法により、ペプチド分子を介しての長距離電子移動を評価した。金とペプチドとの界面での電子移動が律速段階と考えられ、静電ポテンシャルプロファイルを計算し、電子移動を検討した。 4.16量体のらせん形成ペプチドを金基板上に垂直配向で固定化し、STS測定を行うことで単分子コンダクタンスを評価した。I-V曲線は、Simonsモデルで解析でき、電子移動の減衰因子は0.75Å^<-1>と求まった。らせん形成ペプチドの末端にフェロセンを結合した場合、整流性が観察された。 5.末端にエチルカルバゾリル基を結合した16量体のらせん形成ペプチドを金基板上に垂直配向で固定化した。C末端側に存在するカルボキシル基の解離状態が光電変換に及ぼす効果を調べた。その結果、pHにより光電流をスイッチできる分子システムを構築できた。
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Research Products
(5 results)