2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属アート錯体の特性を活かした新規アニオン重合開始剤の開発
Project/Area Number |
15350071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井原 栄治 愛媛大学, 工学部, 助教授 (90243592)
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Keywords | 金属アート錯体 / アニオン重合 / メタクリル酸メチル / アクリル酸ブチル / リビング重合 / 遷移金属 / 典型金属 |
Research Abstract |
様々な遷移金属のハロゲン化物と有機リチウム化合物との反応により発生させた遷移金属アート錯体が、メタクリル酸メチル(MMA)の重合開始剤をなり得ることを見出した。塩化マンガン(MnCl_2)と3当量のブチルリチウムから発生させたマンガンアート錯体[nBu_3Mn]^-Li^+に過剰量のトリイソブチルアルミニウム(iBu_3Al)を加えた混合物を開始剤としてMMAの重合を行ったところ、分子量の揃ったポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)が定量的に得られた。得られるPMMAの分子量はモノマーと開始剤の仕込み比により制御することが可能であり、トルエン中、0℃、1hという反応条件で分子量10万以上に達する高分子量のPMMAを得ることが可能となった。生成物のMALDI-TOF-MSによる解析により、その開始末端はH、停止末端はback-bitingによる6員環構造であることが明らかとなった。タングステン、鉄、コバルトといった遷移金属のハロゲン化物と有機リチウム化合物から発生させたアート錯体を開始剤として用いた場合にも、iBu_3Alを添加することによって同様なMMAのリビング重合が可能であったが、これらの重合系では、iBu_3Alの添加効果によってback-bitingが抑制された結果、停止末端にはHの存在が確認できた。 ジイソプロピルアミド(iPr_2N)を配位子とするクロム、バナジウムのアート錯体を開始剤としたMMAの重合では、THF中、-78℃という条件でリビング重合が進行し、非常に分子量の揃ったポリマーが得られることを明らかにした。 カリウムt-ブトキシド(tBuOK)とiBu_3Alの反応により得られる典型金属のAlのアート錯体を開始剤とする、アクリル酸t-ブチルの重合は、トルエン中、-78〜50℃という幅広い温度範囲において、リビング的に進行することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Eiji IHARA: "Anionic Polymerization of Methyl Methacrylate Initiated with Late Transition-Metal Halides/Organolithium/Trilsobutylaluminum Systems"J.Polym.Sci., Part A., Polym.Chem.. 41・13. 1962-1977 (2003)
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[Publications] 井原 栄治: "遷移金属アート錯体を開始剤とするアクリレート類の重合"接着. 47・5. 225-229 (2003)
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[Publications] Eiji IHARA: "Anionic polymerization of methyl methacrylate in the presence of chromium carbonyl [Cr(CO)_6]"Polym.Bull.. 50・4. 213-218 (2003)
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[Publications] Eiji IHARA: "Anionic Polymerization of Methyl Methacrylate Initiated with Chromium and Vanadium Ate Complexes Incorporating Diisopropylamide Ligand"Polymer J.. 35・12. 972-977 (2003)
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[Publications] Eiji IHARA: "Anionic Polymerization of Methyl Methacrylate Initiated with Lithium Diphenylamide (Ph_2NLi) in the Presence of Divalent Transition Metal Halide"J Polym.Sci., Part A., Polym.Chem.. 42・1. 31-37 (2004)