2004 Fiscal Year Annual Research Report
赤外分光と光電子分析による動作環境下にある有機デバイスの"その場"評価
Project/Area Number |
15350075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 久夫 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (60232237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庭野 道夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20134075)
木村 康男 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (40312673)
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Keywords | 有機半導体 / 多重内部反射型赤外分光 / 有機トランジスタ / ドーピング / 変位電流測定 / 光電子収量分光 / 酸素 / イオン化ポテンシャル |
Research Abstract |
本研究では、多重内部反射型赤外分光、光電子収量分光、ならびに変位電流測定などの電気特性測定を通じて、有機デバイスの動作機構の解明、性能向上を目指して研究を進めている。 本年度の主な成果は以下の二点である。 (i)大気下では、有機半導体から酸素分子へ電子移動が生じて正孔が生成されると従来から考えられてきた。チオフェン薄膜に対して遮光下で酸素ドーピングを行うとチオフェンのカチオンが生成されることを多重内部反射赤外分光(MIR-IRAS)測定から直接観測することに成功した。さらに、有機分子から酸素分子への電子移動反応が光吸収によって飛躍的に促進されることを見出し、「光誘起ドーピング」機構を提案した。また、光照射を終了した後も、生成した正孔は長時間にわたって膜中に維持されることもMIR-IRAS測定より明らかにした。このことは、光照射量を変えることで定量的にドーピングレベルを制御できることを示しており、新しいドーピング法としての展開が大いに期待される。 (ii)真空から常圧雰囲気までの環境で材料のイオン化ポテンシャルを測定できる光電子収量分光(PYS)装置の開発を行った。特に、従来の装置で問題となっていた6eVをこえるイオン化ポテンシャルが測定できないという問題を克服し、大半の有機エレクトロニクス材料のイオン化ポテンシャルをカバーすることに成功した。また、PYS測定が有機半導体/電極界面の電子構造評価にも応用できる可能性も示した。
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Research Products
(9 results)