2003 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性液体の組織化による異方的イオン・物質輸送材料の構築
Project/Area Number |
15350077
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 隆史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70214377)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉尾 正史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60345098)
|
Keywords | イオン性液体 / 液晶 / 超分子 / 自己組織化 / ナノ構造 / 異方性 / イオン輸送 / 物質輸送 |
Research Abstract |
イオン活性機能を有する有機材料として、近年、イオン性液体が注目を集めている。本研究では、イオン性液体の構成部位となっているイミダゾリウム塩などのイオン活性部位を、液晶の自己組織化能を利用して多様な秩序をもたせて配列させ、新しい機能性材料とすることを目的とした。 1.秩序構造制御による1次元高速イオン伝導材料の構築 トリス(アルキルオキシ)フェニル基を有する扇状構造のイミダゾリウム型イオン性液体を設計した。分子の自己組織化には、イオン活性部位と非イオン活性部位のナノメートルレベルの相分離構造の形成を活用した。オクチル鎖のイオン性液体は-29〜133℃、ドデシル鎖のイオン性液体は17〜183℃で、イオン性部位をカラムの中心に組織化したヘキサゴナルカラムナー液晶相を形成した。液晶状態でせん断を印加することにより、カラム構造を均一に欠陥なく基板上に配向させた。この配向したイオン活性液晶の異方的イオン伝導性を温度の関数として交流インピーダンス法により測定した。カラム軸に平行な方向のイオン伝導度は垂直な方向のイオン伝導度よりも高い値を示した。これは、芳香族アルキル部位がイオン絶縁層として機能することにより、イオンがカラムの軸に沿って1次元的に伝導したためと思われる。さらに、これらのイオン活性液晶にリチウム塩をドープすることによって、カラム軸方向の伝導性と伝導度の異方性を同時に向上することに成功した。 2.重合による構造の静的安定化 異方的構造を有する自立性イオン伝導材料の構築を目的とし、重合基としてアクリル基やメタクリル基を導入した棒状および扇状構造のイミダゾリウム型イオン性液体モノマーを合成した。これらのイオン性液体はそれぞれスメクチック液晶相、カラムナー液晶相を形成した。液晶状態でモノマーを均一配向させたまま光重合することにより、異方的1・2次元イオン伝導性を示す高分子フィルムの作製に成功した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] K.Hoshino, M.Yoshio, T.Mukai, K.Kishimoto, H.Ohno, T.Kato: "Nanostructured Ion-Conductive Films : Layered Assembly of a Side-Chain Liquid-Crystalline Polymer with an Imidazolium Ionic Moiety"Journal of Polymer Science Part A : Polymer Chemistry. 41・22. 3486-3492 (2003)
-
[Publications] M.Yoshio, T.Mukai, H.Ohno, T.Kato: "One-Dimensional Ion Transport in Self-Organized Columnar Ionic Liquids"Journal of American Chemical Society. 126・4. 994-995 (2004)
-
[Publications] 西井 雅之, 加藤 隆史: "刺激や環境に応答する新しい液晶性分子複合体の構築"機能材料. 24・1. 23-29 (2004)
-
[Publications] 吉尾 正史, 加藤 隆史(分担執筆): "イオン性液体-開発の最前線と未来-"シーエムシー出版. 8 (2003)