2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350079
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大熊 毅 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (50201968)
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Keywords | BINAP / DREN / 光学活性アルコール / 単純ケトン類 / 反応機構 / 不斉水素化 / 立体選択性 / ルテニウム錯体触媒 |
Research Abstract |
有機合球における触媒とは、「化学量論的変化に現れずに化学反応を促進する物質」を指す。この触媒は原料となる化合物に作用し、寿命の極めて短い幾つかの中間体を経た後に生成物を放出し、もとの構造に戻る。したがって、優れた触媒は同じ反応促進作用を何万回、何十万回も繰返すことができる。しかしながら、そのような高活性触媒はわずかに知られているだけである。この事実は、触媒に高い活性を賦与する科学的な原理が不足していることを意味する。本研究者の開拓した光学活性ジホスフィン2,2'-ビスジフェニルホスフィノ-1,1'-ビナフチル(BINAP)と1,2-ジフェニルエチレンジアミン(DPEN)を配位子とするルテニウム錯体触媒は、単純ケトン類の水素化に対して極めて高い活性と立体選択性を示す。触媒回転数は240万回に達する。この触媒反応の機構を明らかにすることは、これまで知られていなかった一つの原理を導くことにつながり、化学の発展に大きく貢献できるものと考え検討を行った。効率的に活性種を発生する触媒前駆体trans-RuH(η^1-BH_4)(binap)(dpen)を用いて速度論的および構造化学的解析を行うことにより、本水素化反応機構の全容をほぼ明らかにすることができた。すなわち、RuH(η^1-BH_4)型の錯体は容易にBH_4部を解離し、カチオン性錯体[RuH(binap)(dpen)]^+を発生することが質量分析および核磁気共鳴スペクトル分析により明らかとなった。この錯体と分子状水素から得られる18電子ジヒドリド活性種RuH_2(binap)(dpen)は速やかにケトンを還元して光学活性アルコールを放つとともに16電子のルテニウムアミド錯体となる。さらにこのものはアルコールにより容易にプロトン化され、カチオン性錯体を再生し、触媒サイクルが完成する。また、この反応の特性を活かしてα-アリール置換シクロアルカノン類から、対応するシスアルコールを極めて高い光学収率で合成することに成功した。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] C.A.Sandoval: "Mechanism of Asymmetric Hydrogenation of Ketones Catalyzed by BINAP/1,2-Diamine-Ruthenium(II) Complexes"J.Am.Chem.Soc.. 125・44. 13490-13503 (2003)
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[Publications] T.Ohkuma: "Asymmetric Hydrogenation of 2-Arylated Cycloalkanones through Dynamic Kinetic Resolution"Synlett. (印刷中). (2004)
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[Publications] R.Noyori: "Toward Efficient Asymmetric Hydrogenation : Architectural and Functional Engineering of Chiral Molecular Catalysts"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (印刷中). (2004)
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[Publications] T.Ohkuma: "Comprehensive Asymmetric Catalysis-Supplement 1 (Hydrogenation of Carbonyl Groups)"Springer. 41 (2003)
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[Publications] T.Ohkuma: "Comprehensive Asymmetric Catalysis-Supplement 1 (Hydrogenation of Imino Groups)"Springer. 11 (2003)
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[Publications] T.Ohkuma: "Comprehensive Asymmetric Catalysis-Supplement 1 (Hydrosilylation of Carbonyl Imino Groups)"Springer. 17 (2003)
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[Publications] T.Ohkuma: "Handbook of Reagents for Organic Synthesis : Chiral Reagents for Asymmetric Synthesis ((S,S)-1,2-Diphenylethylenediamine)"Wiley. 5 (2003)
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[Publications] 大熊 毅: "化学便覧 基礎編II 第5版(不斉触媒反応/水素化・水素移動反応)"丸善. 14 (2004)
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[Publications] 大熊 毅: "実験化学講座 第5版、第19巻(有機化合物の合成VII) (不斉還元/光学活性触媒を用いる不斉水素化反応)"丸善. 65 (2004)
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[Publications] 大熊 毅: "有機合成のための触媒反応103(カルボニル化合物の水素化)"東京化学同人. 2 (2004)
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[Publications] 大熊 毅: "有機合成のための触媒反応103(官能基をもつケトン類の不斉水素化)"東京化学同人. 2 (2004)
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[Publications] 大熊 毅: "有機合成のための触媒反応103(単純ケトン類の不斉水素化)"東京化学同人. 2 (2004)
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[Publications] T.Ohkuma: "Comprehensive Asymmetric Catalysis-Supplement II (Hydroboration of Carbonyl Groups)"Springer(印刷中). (2004)
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[Publications] T.Ohkuma: "Transition Metals for Organic Synthesis, 2nd Ed (Carbonylhydrogenation)"Wiley-VCH(印刷中). (2004)