2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350090
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
西畑 保雄 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・構造物性研究グループ, 副主任研究員 (90218181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水木 純一郎 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・構造物性研究グループ, グループリーダー (90354977)
田中 裕久 ダイハツ工業(株), 材料技術部, 主担当員
上西 真里 ダイハツ工業(株), 材料技術部, 研究員
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Keywords | 自己再生 / 触媒 / ペロブスカイト / 貴金属 / ガソリンエンジン / 排ガス / 放射光 / 時分割XAFS |
Research Abstract |
貴金属パラジウムを複合させたペロブスカイト型酸化物(LaFePdOx)は酸化還元変動雰囲気下での自己再生現象により高い触媒活性を維持する。パラジウムは酸化雰囲気下ではペロブスカイト型構造の酸素八面体の中心をイオンとして占有しており、還元雰囲気下では析出しペロブスカイト粒子の表面にナノサイズの金属微粒子として存在する。このパラジウムの状態は可逆な変化であり、結果として貴金属粒子のサイズが小さく保たれることが高活性の構造的要因である。このパラジウムの動的な振る舞いを明らかにするために、第3世代大型放射光実験施設スプリング8(兵庫県、播磨科学公園都市)のBL28B2およびESRF(フランス、グルノーブル)のID24にて時分割XAFS実験を行った。パラジウムの電子状態および局所構造の変化は数秒以内で完了することが分かった。これは自動車触媒として実用上、十分早い反応速度と考えられる。しかも200℃もの低温で結晶構造の変化が起っていることが分かり、この物質の特異な低温での高活性の原因を説明できる。更にパラジウムは析出しやすく、ペロブスカイト結晶に戻りにくいという性質が、特に400℃以下の低温で徐々に顕著になってくることも分かった。この実験結果は、ペロブスカイト型構造の酸素八面体中心、金属微粒子に次ぐ第3の状態としてPdOなどのパラジウムの酸化物の状態が関与していることを示唆しており、自己再生現象のダイナミックスを議論する上で大変重要な情報を得ることができた。
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Research Products
(4 results)