2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15350097
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平尾 一郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任教授) (50173216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 雅雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助手) (60345155)
池田 修司 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助手) (80336320)
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Keywords | 人工塩基対 / 人工核酸 / 人工タンパク質 / 複製 / 転写 / 飜訳 / アプタマー |
Research Abstract |
新たな機能性バイオポリマーを開発するための革新的な技術の開発を目指して、複製・転写・翻訳において機能する人工塩基対を作り出すことが本研究の目的である。最終年度にあたる本年度は、最終目標である複製に於いても機能する人工塩基対の開発に成功した。 昨年度までに、いろいろな特性を有する十種類程度の人工塩基をデザイン・合成することが出来た。そこで、これらの人工塩基を網羅的に組み合わせて、それぞれの塩基対の複製と転写における選択性を調べた。その結果、予期しなかった人工塩基の組み合わせで、転写に於いて高い選択性と効率を示すものを見つけた。この知見を基にして、さらに新たな人工塩基対をデザイン・合成したところ、複製と転写に於いて高い選択性を示す人工塩基対(Ds-Pa塩基対)を開発することができた。このDs-Pa塩基対を含む二本鎖DNAを用いて、20サイクルのPCRを行ったところ、増幅されたDNAにはDs-Pa塩基対が95%以上保存されていた。このDNAが一回増幅する時の人工塩基対のフィデリティーは99.8%程度であった。この値は、これらの人工塩基を含むDNAの化学合成の純度に近く、したがって、PCRにおけるDs-Pa塩基対のフィデリティーは、99.8%よりもさらに高いものと推測される。 このDs-Pa塩基対は、転写に於いても相補的に機能し、鋳型DNA中のDsに対してPaを、またPaに対してDsを、それぞれRNA中に選択的に導入することができた。さらにPaにビオチンを結合した基質も作製し、この基質も鋳型DNA中のDsに相補してRNA中に選択的に取り込まれることもわかった。したがって、このDs-Pa塩基対を遺伝子に組み込むことにより、核酸をべ一スにした新たなテクノロジーを作り出すことが出来るようになった。さらに、複製でも機能する人工塩基対が開発されたことから、細胞内の実験にも本技術を応用できる状況になった。 Ds-Pa塩基対は、翻訳に於いては効率よく機能しなかったが、これまでに開発された転写や翻訳で機能する人工塩基対(s-y塩基対やs-Pa塩基対)とDs-Pa塩基対を組み合わせることにより、複製・転写・翻訳の全てにおいて遺伝情報を拡張することが可能になった。 以上のように、世界に先駆けて、本研究の目的である人工塩基対を開発することができた。
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Research Products
(12 results)