2003 Fiscal Year Annual Research Report
二核銅活性中心を有する銅タンパク質の機能解明と機能改変
Project/Area Number |
15350105
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊東 忍 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30184659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘 祥光 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50336757)
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Keywords | チロシナーゼ / 分子状酸素の活性化 / 二核銅酸素錯体 / フェノールの酸化 / 酵素反応機構 / 銅タンパク質 / ペルオキソ錯体 / オキソ錯体 |
Research Abstract |
[1]アカパンカピ由来のチロシナーゼの生成:チロシナーゼは比較的古くから研究されており、市販品としても入手可能である。しかし、市販品の純度はきわめて低く、そのままでは本研究の目的達成のために使用不可能であった。そこで本研究の初年度においては、アカパンカビを大量培養し、そこからチロシナーゼを単離するための条件検索を行った。 [2]二核銅酸素錯体によるフェノール誘導体の酸化反応機構の解明:我々は既にモデル系においてサイドオン型のペルオキソ二核銅(II)錯体によるフェノールの酸素化反応を見いだし報告している(J.Am.Chem.Soc.2001,123,6708-6709)。本研究の初年度においては本反応における基質の置換基効果やフェノール性水素の役割、他の二核銅酸素錯体(たとえば、ビス(μ-オキソ)二核銅(III)錯体)との反応性の比較などについて系統的かつ詳細に検討を行い、銅酸素錯体によるフェノールの酸化反応は電子移動経由で進行することを見いだした。本研究課題を効率よく推進するために、酸素錯体の同定や分光学的特性を調べるために必要なレーザーラマン分光光度計を購入した。 [3]新規な二核化配位子の設計に基づく二核銅酸素錯体の機能化:上記[2]のモデル研究は主にチロシナーゼの機能解明を目指したものであるが、本研究ではチロシナーゼ機能を模倣した効率的酸素化触媒の開発と応用面の開拓についても検討を行った。この目的を達成するために使用する新規な二核化配位子の設計・合成と、それを用いた二核銅-酸素錯体の調製、およびその構造、物性、反応性などの基礎的なデータの収集を行った。さらに合成した二核銅酸素錯体によるフェノール類の触媒的酸素化反応や、ポリフェノール用重合触媒への応用を図り、反応条件の最適化や構造活性相関などについて検討した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S.Itoh, et al.: "Oxidation Mechanism of Phenols by Dicopper-Dioxygen (Cu_2/O_2) Complexes"J.Am.Chem.Soc.. 125・36. 11027-11033 (2003)
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[Publications] S.Itoh, et al.: "Kinetic Evaluation of Phenolase Activity of Tyrosinase using Simplified Catalytic Reaction System"J.Am.Chem.Soc.. 125・43. 13034-13035 (2003)
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[Publications] S.Itoh, et al.: "Substituent Effects of β-Diketiminate Ligands on the Structure and Physicochemical Properties of The Copper(II) Complexes"Inorg.Chem.. 42・25. 8395-8405 (2003)
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[Publications] S.Itoh, et al.: "Structures and Redox Reactivities of Copper Complexes of (2-Pyridyl)-alkylamine Ligands. Effects of the Alkyl Linker Chain Length"Inorg.Chem.. 42・24. 8087-8097 (2003)
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[Publications] S.Itoh, et al.: "Quantitative Evaluation of d-π Interaction in Copper(I) Complexes and Control of Copper(I)-Dioxygen Reactivity"Chem.Eur.J.. 10・1. 237-246 (2004)
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[Publications] S.Itoh, et al.: "Dinuclear Copper-Dioxygen Intermediates Supported by Polymine Lingands"J.Inorg.Biochem.. 98(In press). (2004)
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[Publications] S.Itoh, et al.: "Comprehensive Coordination Chemistry-II"Dicopper Enzymes. 840 (2003)