2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノカーボン材料(PAH)の電子物性と高容量新型リチウムイオン電池への応用
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15350114
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
山邊 時雄 長崎総合科学大学, 大学院・工学研究科・学長, 教授 (80025965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 光廣 長崎総合科学大学, 工学部, 教授 (90086455)
吉野 勝美 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70029205)
石川 滋 東海大学, 理学部, 助教授 (90256660)
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Keywords | 多縮合環芳香族炭化水素 / PAH / リチウムイオン二次電池 / 炭素材料 / ナノカーボン / 分子性振電相互作用 |
Research Abstract |
ナノカーボン材料PAHの理論計算 PAHの理論計算用のモデルとして、多縮合環芳香族化合物の2分子系を考え、密度汎関数法を用いた量子化学的計算を行った。まずLiが層間に入った時の最適構造は2分子面の中央にLiが位置し、面間隔がほぼ4Åのものであることが明らかとなった。さらに表面や端は多量のLiが付着することが示され、これにより、PAHに多量のLiが含まれることが示唆された。また、Liが入ることによってPAHはLiからの電子を受けとり系は負になるが、この時の電子物性を調べるために、種々のPAHの電子物性特に振電相互作用について検討し、特異な電子物性の発現の可能性を示した。 PAHの生成 PAHは電気炉を用いて石油系ピッチ(粉末)を不活性ガス(窒素ガス)中、550℃および650℃の一定温度でそれぞれ4時間熱反応させて得られた。ピッチを加熱すると350℃前後でタール成分を含む黄色のガスが大量に発生するので、電池の活物質として最適なPAHを得るためには、室温から一定温度まで上昇させる昇温プロセスは特に重要であり考慮が必要であった。熱反応前後の質量から得られる収率は550℃、650℃のいずれも43.5%であり、反応温度による差は認められなかった。 PAHの墓礎物性 得られたPAHの基礎物性を調べるために、走査電子顕微鏡と高分解能透過電子顕微鏡(TEM)による観察と構造解析、X線回折装置による(002)面間隔や結晶子サイズなど結晶性の解析、元素分析装置による[H]/[C]モル比の測定、電気伝導度の測定などを行った。特にTEMによるPAHの格子像は貴重な写真である。C軸方向の結晶子サイズは3.2nmであり、約10層の(002)面の積層が認められた。これらの詳細な基礎物性については生成方法も含めて論文として発表した[掲載誌:Synthetic Metals 145(2004)31-36]。 PAHを活物質に用いたリチウムイオン二次電池の試作 リチウムイオン二次電池の電極に金属リチウムと生成したPAHを用いた電池セルを組み立て充放電特性を測定した。その結果、充電時の電気容量が850mAh/g、放電時の電気容量が520mAh/g、効率61%の高容量電池が得られた。
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Research Products
(8 results)