2003 Fiscal Year Annual Research Report
せん断流動場下における高分子結晶化―繊維構造形成機構の解明を目指して
Project/Area Number |
15350133
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金谷 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (20152788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 幸次 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80189290)
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Keywords | 高分子結晶化 / せん断流動 / 繊維構造 / シシケバブ構造 / 偏光解消光散乱 / 小角X線散乱 / 広角X線散乱 / 異方性散乱 |
Research Abstract |
高分子を流動場下において結晶化させるといわゆるシシカバブ構造という特異な繊維構造が出現することはよく知られている。シシカバブ構造とは、伸張鎖結晶に回りに折り畳み鎖ラメラ結晶がエピタキシー的に成長した構造で、串刺しの焼き肉に形が似ていることからこの名前が付けられている。現時点では、シシカバブ構造が繊維構造の最も基本的な構造であると考えられているが、その構造形成機構についてはほとんど解明されていない。本研究ではシシカバブ構造の解明を目指し、せん断流動場下での高分子の結晶化過程を光散乱、光学顕微鏡、小角X線散乱、小角中性子散乱、広角X線散乱の測定法を用いた時間分割測定により調べた。特に今年度は、代表的なポリオレフィンであるポリエチレンおよびアイソタクチックポリプロピレンについて実験を行った。 時間分割偏光解消測定では、パルス的せん断流を与えた後の結晶化過程において、シシ構造に対応すると考えられるシャープなストリーク状の散乱が流動方向に垂直な方向に観測され、それが時間とともに成長していく過程が明確に捉えられた。また、小角X線散乱ではケバブ構造に対応する流動方向に垂直な方向に2スポットパターンの成長が観察された。それぞれの構造出現にたいする臨界のせん断速度を評価したところ、それらはほぼ一致した。一方、出現する時刻に関しては、シシ構造が圧倒的に早かった。これらのことより、まず伸張鎖結晶であるシシ構造が生成し、その後その異方性に支配されたケバブ構造が出現すことが明らかとなった。
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