2003 Fiscal Year Annual Research Report
GAとMEMの統合によるAb intio電子解析システムの構築
Project/Area Number |
15360006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂田 誠 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40135306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 健一 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I, 研究員 (90344390)
久保田 佳基 大阪女子大学, 理学部, 講師 (50254371)
西堀 英治 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10293672)
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Keywords | 遺伝的アルゴリズム / 粉末X線構造解析 / マキシマムエントロピー法 / 単一分子からなる分子性金属 / 金属内包フラーレン / 並列計算機 / ab-initio構造決定 / 分子動力学計算 |
Research Abstract |
本年度は、構造に多くの自由度を持つ、有機分子性結晶の遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた構造解析システムの開発を目標とした。この目標に基づき1.並列計算GA構造解析システムの開発と2.開発したシステムの構造未知な有機分子性結晶への適用を行った。更に、最終目標である、ab-initioからの分子性結晶の実験的電子密度分布解析に関連した、3.マキシマムエントロピー法(MEM)電子密度分布の理論的検証も行った。それぞれの実績の概要について以下に述べる。 1.4CPUの並列ワークステーションクラスタを購入し、このマシン上で解析システムを開発した。また、システム開発と共に、解析アルゴリズムも最適化した。開発したシステムにより、報告されている中では世界最高自由度をもつ2分子20自由度の構造決定を計算時間約20時間で行うことに成功した。 2.開発途中のシステムを用いて、単成分分子からなる分子性金属関連物質Pd(dt)2,Co(dt)2等の構造決定を行った。Pd(dt)2については、得られた構造に基づくバンド計算の結果から、Pd(dt)2の半導体的電気伝導特性が、構造に由来することが明らかになった。この成果は、Chemistry Letters誌に掲載された。 3.金属内包フラーレンのLa2@C80のMEM電子密度分布に見られた、2個のLa原子がなす20面体の電子密度について、Ramanスペクトルの結果と合わせて、分子動力学計算により検討した。その結果、20面体の頂点は、フラーレンC80の3個の6員環が合わさった点の配置と対応していることを明らかにした。この成果は、J.Am.Chem.Soc誌に掲載された。 以上の研究から、粉末回折を用いてab-initioから電子密度分布解析での最大の問題点が、格子定数の決定にあることがわかってきた。来年度は格子定数決定の新しい方法の開発を中心に進めていく。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shimotani, H., Iwasa, Y., Shinohara, H., Nishibori, R, Sakata, M., others: "Quantum chemical study on the configurations of encapsulated metal ions and the molecular vibration modes in endohedral dimetallofullerene La-2@C-80"JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY. 126. 364-369 (2004)
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[Publications] Suzuki, W, Kobayashi, A, Nishibori, E., Takata, M., Sakata, M., others: "Structures of a single-component palladium complex with extended TTF-type dithiolate ligands, bis(tetrathiafulvalenedithiolato)palladium determined by powder X-ray diffraction"CHEMISTRY LETTERS. 32. 1106-1107 (2003)
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[Publications] Tsubota.M., Iga, F., Nishibori, E., Takata, M., Sakata, M., Kato, K others: "Hole-doping and pressure effects on the metal-insulator transition in single crystals of Y1-xCaxTiO3 (0.37<=x<=0.41)"OURNAL OF THE PHYSICAL SOCIETY OF JAPAN. 72. 3182-3188 (2003)
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[Publications] Kato, K., Moritomo, Y., Takata, M., Sakata, M others: "Direct observation of charge transfer in double-perovskite-like RbMn[Fe(CN)(6)]"PHYSICAL REVIEW LETTERS. 91. 255502 (2003)
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[Publications] Isshiki, M., Irifune, T., Nishibori, E., Takata, M., Sakata, M.others: "Stability of magnesite and its high-pressure form in the lowermost mantle"NATURE. 427. 60-63 (2004)
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[Publications] Kirihara, K., Kimura, K., Kato, K., Takata, M., Nishibori, E., Sakata, M others: "Covalent bonds and their crucial effects on pseudogap formation in alpha-Al (Mn,Re)Si icosahedral quasicrystalline approximant"PHYSICAL REVIEW B. 68. 014205 (2003)