2004 Fiscal Year Annual Research Report
多結晶窒化物半導体の電界放射電子源、可視蛍光体への応用に関する研究
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15360012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90192947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50189528)
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Keywords | 窒化物半導体 / 多結晶半導体 / 分子線エピタキシ / 電解電子放出 / 可視発光 / Si基板 / 希土類原子添加 / 強磁性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第1には、多結晶III-V族窒化物半導体を用いることによる優れた電界放出特性、安定性を明らかとし、電界放出電子源実現可能性を明らかとすることであり、第2には、希土類原子の添加により良好な可視域発光蛍光体としての性質を明らかとすることである。 Mo金属基板上に成長した多結晶GaNからは、電界電子放出しきい電界として6.4V/μmいう低いしきい電界が得られること、また、このGaN表面に薄いAlN層を形成することによりしきい電界値を更に低下できる(実効的に電子親和力が0.8eV減少する)ことを既に確認してきた。16年度は、多結晶GaNのグレイン構造に注目して検討した。この結果、グレイン構造が様々な方向を向いていることにより、グレインの境界で電圧低下が起こり、電界電子放出しきい電圧を高くしていることが見出され、グレイン構造を制御することにより更に低いしきい電界が得られるとの結論に達した。我々が以前に石英ガラス基板上成長GaNで観測されていた柱状成長に注目し、薄いSiO_2自然酸化膜が表面に形成されているSi基板上へのGaNの成長を検討した。この結果、GaNはきれいな柱状のGaN(ナノロッド)となり、電界電子放出しきい電界として1.25V/μmと大幅な改善が見られた。放出電流密度としても2.5V/μmで2.5mA/cm^2の大きな電流の得られることが明らかとなった。この特性は、最近話題になっているカーボンナノチューブ(CNT)による電界電子放出特性に比べ同等以上である。基板(下地)との密着性の良さを考慮すると、電界放出電子源への応用が有望であることが明らかとなった。 希土類添加GaN(GaEuN, GaGdN, GaDyN)からは、強くシャープなフォトルミネセンス(PL)可視発光が得られた。これらの発光の発光波長が温度無依存であること、発光寿命がμsec以上と長いことから希土類原子の内核準位間遷移によるものと同定された。可視域発光蛍光体としての可能性が十分あると考えられる.なお、これら希土類添加GaNでは室温強磁性が観測されており、発光と磁場の相互作用を利用したデバイス(スピントロニクス)への展開も興味がもたれる。
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Research Products
(6 results)