2003 Fiscal Year Annual Research Report
光ピンセットを用いた水面上単分子膜における分子配向制御に関する研究
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15360015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
八田 英嗣 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90238022)
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Keywords | ブリュースター角顕微鏡 / 水面上単分子膜 / 光ピンセット / ディスクリネーション / テクスチャー / 分子配向 / 線張力 / 配向弾性 |
Research Abstract |
研究の第一段階として設備備品費にて購入したレーザや対物レンズ等の光学部品、及びCCDカメラを用いて光ピンセット-ブリュースター角顕微鏡システムの構築を行った。ブリュースター角顕微鏡が正常に作動することを確認するためにオクタデカノール水面上単分子膜をラングミュアトラフに展開し、単分子膜の観察を行った。その結果,液体凝縮相において面内配向の異なる多くのドメインが十分なコントラストで観察されることを確認した。このことにより,ブリュースター角顕微鏡は正常にセットアップされたものとみなした。この後,顕微鏡の視野内で光ピンセットを作動させるために赤外レーザの焦点調整を行った。この結果,顕微鏡の視野内に存在する液体凝縮相のドメインへのレーザ照射に対してドメインがインパルス的に融解することが確認された。以上のプロセスを通して水面上単分子膜を観察しながら膜に対して局所加熱及び局所ストレスを加えるための光ピンセット-ブリュースター角顕微鏡システムが正常に構築されたことを確認した。 研究の第二段階としてポリジアセチレン水面上単分子膜のブリュースター角顕微鏡観察ならびに光ピンセットによる局所ストレス印加実験を行った。その結果,次数1の点状欠陥を中心に有する特徴的なテクスチャーが観察されるとともに、ストレス印加時にその欠陥が2つの半整数欠陥に分裂することを観察することに成功した。この欠陥分裂に伴うテクスチャー変化は水面上単分子膜内の配向弾性エネルギーと2つの半整数欠陥をつなぐπ-ウォールの線張力の競合現象として説明可能であると考えられる。すなわち,観察しているテクスチャーに対するレーザ加熱は膜内に異方的なストレスを誘起し、膜構成分子が面内に配向させられる。その結果、π-ウォールの線張力が十分に減少するため、点状欠陥の分裂が可能になるものと考えられる。
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