2003 Fiscal Year Annual Research Report
原子レベルの表面制御による超高輝度コヒーレント・カーボンナノチューブ電子源の開発
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15360019
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
齋藤 弥八 三重大学, 工学部, 教授 (90144203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英樹 三重大学, 工学部, 助手 (40324545)
畑 浩一 三重大学, 工学部, 講師 (30228465)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電界放出 / 電子線干渉 / 可干渉性 / 電子源 |
Research Abstract |
本年度は,カーボンナノチューブ(CNT)先端から放出される電子波の干渉現象の計算機シミュレーション,先端が円錐形に尖った多層CNTからの電界放出パターンの観察,およびCNT表面への吸着分子による電界放出増強効果を測定するための超高真空電界放出顕微鏡の作製を行った。以下にこれらの詳細を述べる。 1.CNT先端からの電子放出パターンのシミュレーション 五員環部分での電子の透過確率を1,その他の領域の透過確率を0とおいて,すなわち,CNT先端からの電子放出が6個の穴(6個の五員環に対応)を通して起こると仮定し,6個の開口を持つ衝立による回折・干渉のシミュレーションを行った。得られた干渉パターンは,五員環境界部分に現れる干渉縞も含め,実際の電子放出パターンを比較的良く再現した。これは,電界放出パターンに観察される縞模様が電子波の重なりによる干渉縞であるという我々の考えを支持すると同時に,CNT電子源のコヒーレンシーの高さを示している。 2.円錐形に尖った多層CNTからの電界放出パターン 頂角が19.2°の円錐形の多層CNTにおいては,次の2種類の電界放出パターンが得られた。一つは,通常の多層CNTに類似して五員環が観察されるパターンであるが,五員環の数は5個であった。もう一つのパターンは,単層CNTからのものと類似した"まだら"模様であった。前者は,頂角19.2°の円錐先端には5個の五員環が存在することによるものであり,後者は,単層CNTに類似して先端の曲率半径が小さい(すなわち,電子放出面積が小さい)ことに起因すると考えられる。 3.超高真空電界放出顕微鏡の作製 吸着分子種による電界放出パターンおよび放出電流に及ぼす効果を詳細に調べる実験装置として,残留ガスのバックグランドの低い超高真空の電界放出顕微鏡を組み立てた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] S.Uemura ほか: "Large Area FEDs with Carbon Nanotube Emitter"J.Soc.Information Display. 11巻・1号. 145-153 (2003)
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[Publications] C.Oshima ほか: "Energy Spectra of Field Emission Electrons from Multiwalled Carbon Nanotubes"J.Vac.Sci.Technol.B. 21巻・4号. 1700-1704 (2003)
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[Publications] H.Sato ほか: "Vertically Aligned Carbon Nanotubes Grown by Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition"J.Vac.Sci.Technol.B. 21巻・6号. 30-37 (2003)
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[Publications] 齋藤弥八: "カーボンナノチューブの応用"パリティ. 18巻・8号. 20-24 (2003)
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[Publications] 齋藤弥八: "触媒金属組み合わせによるナノチューブ成長制御とナノチューブ先端構造"日本結晶成長学会誌. 30巻・4号. 285-290 (2003)
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[Publications] 齋藤弥八: "カーボンナノチューブの機能と応用の展望"高圧ガス. 41巻・2号. 91-95 (2004)
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[Publications] 権田俊一 監修: "21世紀版 薄膜作製応用ハンドブック"エヌ・ティー・エス. 1330 (2003)
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[Publications] 篠原久典 監修: "ナノカーボン材料開発の新局面-加速する本格実用化-"シーエムシー出版. 300 (2003)