2003 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極走査型トンネル顕微鏡による希薄磁性半導体のナノ磁性評価
Project/Area Number |
15360021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50189528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日 一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90192947)
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Keywords | スピン偏極走査型トンネル顕微鏡 / 室温強磁性半導体 / GaCrN / GaN / 磁気力顕微鏡 / 磁気像 |
Research Abstract |
本課題の目的は,スピン偏極走査型トンネル顕微鏡(SP-STM)を作製し,室温強磁性半導体であるGaCrN等の電子状態をナノスケールで明らかにすること,GaN上に形成したGaCrN超薄膜の磁気的電気的性質をナノスケールで評価することである.sp-STMについては,本研究の交付決定が10月であったため,現在装置を作製し立ち上げ中である. SP-STMでGaCrN薄膜を評価するには,原子尺度で平坦な表面が必要となる.そこで,MOCVD成長したGaNテンプレート上に,原子尺度で平坦な表面を持つGaN薄膜の形成を試みた.V/III比のストイキオメトリが保たれた成長条件下の場合,その薄膜表面は成長初期から鮮明な(1x1)RHEEDパターンを示した.成長後,原子間力顕微鏡(AFM)で表面形状を調べたところ,原子層ステップと幅が100nm以下のテラスからなる原子尺度で平坦な表面であること,原子層ステップからなるマウンドも形成されていること,原子尺度で平坦な表面を得るにはV/III比のストイキオメトリを保つことが必須であること,が明らかとなった. 次に,サファイヤ上に形成したGaCrN薄膜結晶構造のCr濃度依存性を調べた.3-5%まではc軸長が減少し,それ以上ではGaNのそれに近い値を取ることが判明した.このことは,低濃度ではCrはGaサイトを置換して取り込まれているが,5%付近からCrNなどのクラスタ形成が起こっていることを示唆している.また,Cr濃度1%付近のGaCrN薄膜について,室温でも強磁性を示すことをSQUID測定から確かめている.室温強磁性を示すGaCrN薄膜に対して,磁気力顕微鏡による磁気像観察を行った.同時測定のAFM像で見られるドメイン構造を反映したコントラスト,その内部内でのコントラスト反転など,磁気力を反映した像が見られており,今後詳細に検討する.
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Research Products
(1 results)