2005 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザーによる薄膜表面のナノ構造生成過程の解明とモデル構築
Project/Area Number |
15360030
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮崎 健創 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (50293957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90158006)
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Keywords | フェムト秒レーザー / ナノテクノロジー / ナノ構造生成 / 表面改質 / DLC(ダイヤモンド状炭素) / ポンプ・プローブ法 / プラズモン |
Research Abstract |
本研究の目的は,フェムト秒レーザーによる新しいナノテクノロジー開発を念頭におき,筆者らが発見した薄膜表面におけるナノ構造生成を担っている物理過程を実験的に特定すると共に,構造生成のための相互作用条件を明らかにすること,及びその知見によってナノ構造生成過程のモデル構築を行うことである。 本年度は,以下の研究によって物理過程に関するモデル構築を試みた。 1)開発を進めてきたプロセッシング用のフェムト秒レーザー増幅システムについて,照射面の集光強度を正確に定義できるよう高性能化を行った。 2)Si基板にDLC膜を蒸着した試料を標的とし,ポンプ・プローブ法によるアブレーション実験を行った。アブレーションしきい値近傍のポンプフルーエンスでパルス数を増加させるとプローブパルスの反射率が増大する現象は,ポンプとプローブパルスの空間的な干渉によってDLC表面にグレーティング構造が生成されたためであることが判明した。 3)このグレーティング構造は,アブレーションしきい値以下のレーザーフルーエンスで生成されており,干渉による光強度のわずかな差で,DLC内のsp^3結合からsp^2結合への変化に大きな差が生じて密度が増大したためであることが明らかとなった。 4)表面構造を観察した結果,DLCからGC層への改質過程が飽和するとGC層において局所的なアブレーションが始まることが解った。すなわち,DLC表面でナノ構造を生成するアブレーションは表面改質後に生じる。パルス数がさらに増大すると,アブレーションによってグレーティング構造が崩壊し,反射率は減少する。 5)以上の結果等から,非伝搬性のプラズモン(ポラリトン)の励起と局所電場生成に基づくモデルを構築している。 今後,このナノ構造生成モデルの検証と共に,広範な物質・材料(誘電体,半導体,金属)に適用で可能なモデル構築のための研究を行い,レーザーパルスによる初めてのナノ構造生成・制御手法の開発を目指す。
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Research Products
(11 results)