Research Abstract |
本研究の目的は科学技術計算に現れるさまざまな超大規模線形方程式の数理的諸問題を研究し,高速解法を総合的に開発するものであり,その最終目標は,解きにくい問題を簡単に,計算時間のかかる問題を高速に,計算精度の不十分な問題を高精度に解けることである.そのため,まずは科学技術計算に詳しい分担者5名(小柳,藤野,速水,長谷川,橋本)が線形方程式に帰着される応用問題の現状について調査した.そして,全員で線形方程式の係数行列を規模と構造と代数性質の観点から分類を行った.張,小柳,速見,阿部は正則と特異な行列に対して収束性の研究を,張,藤野,長谷川,阿部は前処理手法の研究を行った.藤野,阿部は所属した研究機関の高速計算機環境(スーパーコンピュータと並列コンピュータ)において,クリロフ部分空間法の実装を行った.全員で計算結果の検証を行い,新しい問題点と課題に取り込む,国内外から計算科学,計算機科学,クリロフ部分空間法,前処理手法,ライブラリー開発などに携わっている専門家を招き,専門知識の提供を求めた. 1.線形方程式に帰着される科学技術計算の応用問題の現状について調査した.(小柳,藤野,速水,長谷川,橋本.調査・研究旅費,専門知識の提供,資料提供) 2.線形方程式の係数行列を規模と構造と代数性質の観点から分類を行った.(全員.調査・研究旅費,専門知識の提供,資料提供) 3.新しく提案された解法,GPBi-CG(ω)法,GPBi-CG法の収束特性をテスト問題を通じて具体的に評価する.(張.計算機,計算機使用料) 4.正則と特異な行列に対して収束性を研究した.(張,小柳,速見,阿部.専門知識の提供,資料提供) 5.前処理手法の研究を行った.(張,藤野,長谷川,阿部,橋本.専門知識の提供,資料提供) 6.4台のプロセスからなる並列システムを構築し,その上での前処理の並列技術を研究した.(張,橋本.計算機) 7.高速計算機環境(スーパーコンピュータと並列コンピュータ)において,クリロフ部分空間法の実装を行った.(藤野が所属した研究機関のものを利用.計算機,計算機使用料) 9.国内外から計算科学,計算機科学,クリロフ部分空間法,前処理手法,ライブラリー開発などに携わっている専門家を招き,専門知識の提供を求めた.(旅費,専門知識の提供,資料提供) これらの成果を国内外の同分野の研究者に紹介し,学術交流を通してその位置づけ・意義を明確にするため,学術論文誌に投稿したとともに,国内学術会議(日本応用数理学会,情報処理学会,日本オペレーションズ・リサーチ学会)と国外学術会議(国際応用数理学会・IFFF学会・HPC学会)にて出席し、発表を行った.
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