2003 Fiscal Year Annual Research Report
高温域での応力下における構造用セラミックスのき裂治癒挙動に関する研究
Project/Area Number |
15360047
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
安藤 柱 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40017992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 航 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60361870)
高橋 宏治 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 講師 (90334630)
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Keywords | 自己き裂治癒 / セラミックス / 窒化ケイ素 / アルミナ / ムライト / 曲げ強度 / 疲労強度 / 応力拡大係数 |
Research Abstract |
本研究では,申請者らが開発した優れたき裂治癒能力を有する窒化ケイ素/SiC,アルミナ/SiCおよびムライト/SiCを供試材として選択した.100μmの表面き裂を導入した後,試験片に一定応力を負荷した状態で,800℃〜1200℃の大気中において所定の時間熱処理を行った.熱処理後の試験片の室温曲げ強度を測定し,応力下におけるき裂治癒の可否を調査した.さらに,それぞれのき裂治癒温度においても,三点曲げ強度,静疲労強度特性および繰返し曲げ疲労強度特性を調査した.その結果,以下の点が明らかとなった. 1.熱処理後の試験片の曲げ強度は平滑材の曲げ強度と同等の値まで強度が回復していた.しかも,ほとんどの試験片の破断起点はき裂治癒部以外である.したがって,強度を半減させるほどの大きなき裂を,極めて厳しい応力下においても完全に自己治癒することができる. 2.それぞれの材料に関して,き裂治癒可能な限界条件を,応力拡大係数を用いて評価した. 3.一定応力下でき裂治癒を行った試験片の治癒温度における静疲労限度および繰返し疲労限度は治癒材の曲げ強度の70〜80%程度の値であり,き裂治癒部の疲労強度は十分に高いことが明らかとなった. 上記の結論より,本研究で用いた窒化ケイ素/SiC,アルミナ/SiCおよびムライト/SiCは,温度,応力および環境の条件によっては,使用中に生じたき裂をその場で治癒する能力を有していると言える.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Ando 他3名: "Effect of crack-healing and proof-testing procedures on fatigue strength and reliability of Si_3N_4/SiC composites"Journal of the European Ceramic Society. 23-6. 977-984 (2003)
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[Publications] 李, 安藤, 他1名: "炭化珪素セラミックスき裂治癒材の強度特性"材料. 52-6. 674-680 (2003)
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[Publications] 安藤, 他4名: "ムライト/SiC複合セラミックスのその場き裂治癒挙動"材料. 52-8. 998-1005 (2003)
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[Publications] Y.W.Lee, K.Ando 他1名: "Crack-Healing Behavior of Liquid-Phase-Sintered Silicon Carbide Ceramics"Journal of the American Ceramic Society. 86-3. 465-470 (2003)
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[Publications] K.Takahashi, K.Ando, 他2名: "Crack-Healing Behavior of Al_2O_3 Toughened by SiC Whiskers"Journal of the American Ceramic Society. 86-12. 2143-2147 (2003)
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[Publications] 安藤, 高橋, 他2名: "自己き裂治癒能力を応用したセラミックス部品の信頼性保証方法"圧力技術. 41-6. 26-36 (2003)