2005 Fiscal Year Annual Research Report
薄板・箔材料の力学的性質と成形限界に関するスケール階層構造の解明
Project/Area Number |
15360053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今谷 勝次 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (70191898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 拓也 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (50311741)
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Keywords | 電解銅箔 / 塑性変形 / 力学的性質 / 成形限界 / ひずみ計測 / 高温 / 材料異方性 |
Research Abstract |
箔材料はこれまで機能性材料として用いられているが、マイクロデバイスの作成においてナノインデンテーションの際の金型としても用いられるようになっている。箔は本研究課題では、電解銅箔を対象としてバルク材とは異なった挙動を示す箔材料の力学的性質を求めるための試験方法の確立と高温にいたる引張り試験の実施、さらに成形限界の検討を試みた。得られた結果は以下のとおりである。1.箔材料の引張り試験法の検討:微小荷重を負荷できる試験機に非接触式の変位センサーで表面の相対変位を計測することで、極薄板から箔までの引張り試験が可能となった。通常のJIS規格に従う試験片形状では試料掴み部から破損してしまうことが明らかになったので、試料中央部にわずかなくびれを有する試験片形状を用いて、安定した再現性のある引張り試験を行えることが明らかになった。引張り中にと除荷を挿入することで、弾性係数が比較的容易に求められることがわかった。2.高温引張り試験:赤外線加熱によって試料中央部をほぼ均一に加熱し、150℃までの温度において試験を行い、材料特性の温度依存性を検証した。100℃程度で延性が増大するが、銅の再結晶温度を超えると低下することが示された。3.変形挙動の微視的観察:引張り試験前後の箔材料の表面および断面を観察した。通常のバルク材料の組織とはまったく異なり、厚さ方向に針状の組織となっていることがわかった。破損部近傍ではこの針状組織が引張り方向に倒れており、バルク材のくびれ/破損の挙動とはまったく異なったものであることがわかった。4.成形限界の低下:箔材料の引張りにおける成形限界の低下が明らかになった。この原因としては、試料形状の影響による平面応力状態、電解箔の板厚異方性が主に考えられる。今後、板厚方向の特性評価を数値解析とともに試みる必要がある。
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Research Products
(1 results)