Research Abstract |
1.実験装置の構築および最適鋳造条件の解明 双ロールキャスティング装置に超音波,電磁振動によって凝固中の微細化する機能をとりつけた装置を作製した.さらに溶湯直接圧延によって結晶粒の微細なマグネシウム合金板材を得るための,ロールの鋳造条件を求めた.ロール材質がS45Cの場合には,20-30ミクロンメートル以下の平均結晶粒を有する板材を製造できる条件は,ロール周速度で4-10m/min,注湯温度で650〜675℃,であることを確認した(板材の幅50ミリの場合),ロール材質が純銅の場合には,5-40m/min,注湯温度で630〜650℃であった.ロールギャップとロール速度を変えたとき,製造できる製品の厚さを求め,凝固定数との関係をグラフにした. 2.結晶組織の材料学的調査 AZ31B材のような二元系合金が凝固する際に初晶に振動力を与えることによって微細なマグネシウムストリップキャスト材を得られることがわかった.得られた板材の組織は,初晶の凝固開始時に振動力を与えることで微細化できる.板材の組織は,S45Cロールを用いたとき,板厚さの両側表面より20パーセントの部分が,柱状組織であり,あとの内部の部分が結晶の粒径が20-30ミクロンの等軸であった,初晶に振動力を与えることによって粒径は1/3〜1/4までさらに微細になる. 3.最適な成形条件の調査 マグネシウム合金AZ31Bのストリップキャスト材を,圧延ロール,板材ともに加熱する方式で圧延し,温間での深絞り成形試験を行った.温間で圧延の温度を200℃から,450℃まで変化させて実験したところ,圧延温度が300℃のとき,限界絞り比で2.6以上が得られ,市販のスラブ材と同程度の温間絞りが可能であることがわかった.圧延パスは,圧延の初期にリダクションを大きくとり,おおきな加工ひずみを与えたほうが伸びのある展伸材を得られることを明らかにした. 4.凝固,流動,変形解析の有限要素モデルの開発 凝固計算には,キャパシタンス法を用いてMARCで計算を行った.解析条件で重要な要素となる溶湯,ロール間の熱伝達係数の推定には,一次元差分凝固モデルを用いて予測した.また得られた板材の板厚さから,熱伝達係数を逆問題として決定し,これによってIT親和性モデルの有効性を確認することができた.計算によって求められた溶湯-ロール間の熱伝達係数を用いて,再度,凝固流動計算をFIDAPを使用して計算し,半凝固域の推定,最適なノズル温度管理状態などの予測を行った.
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