2005 Fiscal Year Annual Research Report
スラリージェットを用いた硬質被膜のトライボロジー特性評価法の確立と加工への応用
Project/Area Number |
15360083
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩井 善郎 福井大学, 工学部, 教授 (40115291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 知己 福井大学, 工学部, 助教授 (80251982)
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Keywords | マイクロスラリージェットエロージョン / MSE / 硬質皮膜 / 粒子衝突摩耗 / 皮膜特性評価法 / アブレージョン / 耐摩耗ランキング |
Research Abstract |
スラリージェットによる固体粒子衝突摩耗を利用した硬質皮膜の表面強度評価法(MSE法)の確立を目指して,異なる方式のMSE試験装置でPVD硬質皮膜の摩耗試験(粒子は1.2μmのアルミナ粒子)を行い,以下の結果を得た. 1.従来の循環式MSE試験において,成膜条件の異なるCr-N膜の摩耗速度は皮膜の微小硬さ(ナノインデンテーション)と弾性率の比と良い相関関係を示すことが明らかになった. 2.Cr-N膜について,MSE試験と既に汎用となっているマイクロアブレージョン試験を行うと,MSE試験結果の方が皮膜の機械的特性や結晶特性とより密接な関係にあることがわかった.また,CrN膜の摩耗速度は結晶の配向性に著しく影響されることが明らかになった. 3.PVDの二層膜(TiN+TiCN膜)のMSE試験では,各皮膜の品質が良好である場合摩耗速度は単層皮膜のそれらと同じであるが,表層のTiCN膜に成膜時の欠陥が多いと摩耗速度は単層のそれらとは異なることがわかった.このことより,本研究のMSE評価法が皮膜の品質の評価に有用であることが確認された. 4.従来の循環式MSE試験では単位時間あたりの摩耗速度でのみ評価してきたが,世界の材料試験法で標準的に用いられている単位投射粒子量あたりの摩耗速度で評価するために新たにポット式MSE試験装置を試作した.その結果,この方式でも皮膜と母材を明瞭に分離して,皮膜の摩耗速度を単位投射粒子量あたりの摩耗量で評価できるようになった. 5.前項4で評価した硬質皮膜の摩耗速度のランキングは,これまでに報告されている海外の評価法でのそれらよりも,皮膜間の違いが一層明瞭にあらわれた. 6.ポット式MSE試験と循環式MSE試験による皮膜の摩耗速度のランキングには非常に良い相関関係がみられた.以上の結果から,本研究で提案しているMSE試験による硬質皮膜の評価法は,簡便また高信頼性で表面強度を評価でき,非常に有用であることとの結論を得た.
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Research Products
(2 results)