| Research Abstract |
乱流火炎は歪みを受ける火炎片の集合と考えられ,歪みを受ける火炎片の構造と動的挙動を明らかにすることは乱流火炎の構造と特性の把握および合理的な解析手法の確立には不可欠である.このため,火炎歪を制御した下での火炎片の構造,消炎特性ならびに,局所消炎による火炎端を持つエッジ火炎構造および動的挙動を火炎の正負の伸張率,曲率,選択拡散,非定常性,伸張率の局所性などの火炎をとりまく諸因子の影響と関連づけて実験および直接数値解析によって明らかにすることを目的とする.(1)燃料として水素とメタンを使用した対向流層流拡散火炎の素反応動力学と多成分拡散を考慮した数値解析により,対向流速を変えたり,部分的に噴流をあてることで伸張率と流れを制御し,消炎と伸張率および流れの関係を解析し,火炎の消炎形態には遷移的な状態と完全に消炎を起こす場合とがあり,いずれも伸張率が最大となる位置の僅かに下流で消炎が起きること,また消炎限界局所伸張率は平面火炎の平均伸張率,外乱の位置,規模に大きく影響されることを明らかにした.(2)同軸噴流の拡散火炎および逆拡散火炎に対し燃料または空気に音響励起による流速変動を与え,大規模渦を伴う火炎を形成し,レーリ散乱およびレーザ誘起蛍光による温度およびOH濃度の2次元分布計測により渦と火炎の干渉挙動を解析した.特に,逆火炎において空気流に強い速度変動を与えた場合に渦の後流において消炎が発生し,一組のエッジ火炎が形成され,その後内側の火炎は全体として消炎に至るのに対して,外側の火炎では再着火が生じる場合があることを初めて実験的に明らかにした.(3)火炎と渦の相互作用が火炎構造と消炎に与える影響について解析し,燃料速度の振動が比較的弱く消炎に至らない場合,化学種間の選択拡散およびルイス数効果が火炎の温度特性に起因していること,振動が大きいとき,反応の非平衡性の進行に従い発熱率が減少し消炎に至ること,および渦周辺の伸張率の極大値は渦の流下とともに移動するが,その位置で必ずしも局所的に消炎しておらず,その後流側で生じることを明らかにした.
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