2003 Fiscal Year Annual Research Report
熱・磁気効果による高温超伝導薄膜限流デバイスの高性能化に関する研究
Project/Area Number |
15360142
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 利只 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10261330)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 憲一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70322831)
|
Keywords | 超伝導薄膜限流器 / EJ特性 / YBCO超伝導体 / 均質常伝導転移 / 超伝導復帰 / 超伝導体破壊 |
Research Abstract |
熱・磁気効果による超伝導薄膜限流デバイスの高性能化に関して本年度は次の研究を行った。超伝導薄膜(臨界電流密度1x10^6〜3x10^6A/cm^2、@77K,自己磁界)を購入し、これを線状薄膜素子に加工した。この膜面に垂直に急峻な立ち上がりのパルス磁界を印加できる装置を製作して、これと超伝導薄膜を組み合わせて特性評価装置とした。これを用いて次の研究を行った。 ・系統故障を模擬して過大電流(臨界電流の数倍)領域までのE-J特性を測定した。また、線状薄膜素子について常伝導転移現象を詳細に検討し、20数W/cm^2の発熱が生じたとき超伝導薄膜は高散逸状態に転移することを明らかにした。しかし、この転移により薄膜は完全に常伝道状態に突入することなく、安定な磁束流状態に止まるという興味ある現象を見出した。この原因は明確でなく現在検討中である。 ・臨界電流値以上の電流が流れている超伝導薄膜に垂直に、急峻な立ち上がりのパルス磁界を印加して常伝道転移を惹起する研究を行った。結果、ピーク値が約0.4T、立ち上がり速度が数100マイクロ秒のパルス磁界により、通電電流が臨界電流よりかなり小さい場合でも試料が均一に常伝導転移され、大きな磁束流抵抗を得ることを示した。これにより、故障後1/4サイクル以内に安全に短絡電流を所定値以内に限流できる見通しを得た(即発転移による限流)。 ・約1/4サイクル以降の常伝導転移(遅発転移と略記)を解析した。故障発生後速やかに磁界とヒータ加熱の両者が作用するが、熱拡散の遅れのためヒータ加熱は即発転移よりも遅発転移に有効に作用する。線状薄膜素子の過度の温度上昇を避けるため可能な限り速やかに薄膜全体を常伝導転移させ、限流電流を小さくしなければならない。本年度は遅発転移についてシミュレーションモデルを開発した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Onishi, T., Sasaki, K., Kawasumi, M: "Effect of Improved Heat transfer to Boiling Nitrogen on Fast Superconductivity Recovery in a Fault Curre nt Limiter with Bulk High Tc Superconductor"Proc.6^<th> European Conference on Applied Superconductivity. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Sasaki, K., Onishi, T.: "Design and Preliminary Tests of Fault Current Limiter with Bi2223 Screen at Liquid Ne Temperature"Proc.6^<th> European Conference on Applied Superconductivity. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Sasaki, K., Nishizawa, C., Onishi T.: "Effect of magnetic diffusion on temperature distribution in conduction cooled Bi2223 fault current limiter"Proc.18^<th> International Conference on Magnet Technology. (印刷中). (2003)
-
[Publications] 嘉陽田朝史, 佐々木憲一, 大西利只: "薄膜超伝導スイッチの基礎特性-強制ノーマル転移及び超伝導回復特性の検討"2003春季低温工学・超電導学会講演概要集. 259 (2003)