2005 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体を用いた巨大電荷制御トランジスタの提案と次世代集積回路への応用
Project/Area Number |
15360157
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳光 永輔 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (10197882)
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Keywords | 強誘電体 / 電界効果型トランジスタ(FET) / ゲート絶縁膜 / 酸化物導電体 / オン電流 / MOSFET / チタン酸ランタンビスマス |
Research Abstract |
本研究の目的は、低電界印加時でも10〜50μC/cm^2という巨大な電荷量を誘起できる強誘電体を、従来からのSiO_2などの常誘電体に代わってゲート絶縁膜として用いた電界効果型トランジスタ(FET)を開発し、大きなオン電流、小さなオフ電流等の良好な電気的特性をもつ非シリコン材料からなる新しいスイッチング素子を実現することである。 昨年度までに、強誘電体薄膜の吟味とチャネル長40μm以上の比較的大きなサイズのデバイスによる動作原理の検証、さらにチャネル長5μmのボトムゲート型の薄膜トランジスタを作製した。本年度は、昨年度までの研究成果を踏まえ、チャネル長や各層の膜厚などのパラメータがデバイスの電気的特性に与える影響を詳細に調べ、また強誘電体の表面研磨をすることにより、オフ電流の減少に成功した。デバイス試作には昨年までに引き続き、強誘電体ゲート絶縁膜にはチタン酸ランタンビスマス(BLT)を、チャネルには導電性酸化物であるインジウムスズ酸化物(ITO)を用いた。チャネル長寸法の縮小に伴って、単位チャネル幅あたりのオン電流が増大し、チャネル長5μmのBLT/ITO薄膜トランジスタにおいて、0.1mA/μmのオン電流を達成した。これは同じチャネル長のシリコンMOSFETに匹敵する値である。また、デバイスの電界効果移動度は3〜10cm^2/Vs程度であり、移動度が小さいにもかかわらず、制御する電荷量が大きいために大きなオン電流が得られるという本研究で提案するコンセプトを実証した。さらに、強誘電体ゲート絶縁膜の表面を機械的研磨により平坦化することで、オフ電流を減少させることに成功し、10^7以上のドレイン電流のオン・オフ比が得られた。以上から本研究では、大きなオン・オフ比と不揮発性メモリ機能を合わせ持つ強誘電体ゲート酸化物チャネル薄膜トランジスタを実現した。
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Research Products
(6 results)