2004 Fiscal Year Annual Research Report
超低損失・透磁率制御型ナノ構造ソフト磁性材料の開発と応用
Project/Area Number |
15360170
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福永 博俊 長崎大学, 工学部, 教授 (10136533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 正基 長崎大学, 工学部, 助教授 (20274623)
吉沢 克仁 日立金属(株), 先端エレクトロニクス研究所, 主任研究員
掛橋 英典 松下電工(株), 照明R&Dセンター, 主査技師
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Keywords | 誘導磁気異方性 / ナノ結晶材料 / 透磁率制御 / 磁気損失 / 応力下連続焼鈍 / 高周波特性 |
Research Abstract |
チョークコイルに代表される透磁率制御型磁気デバイスへの応用を鑑み,非晶質Fe-Cu-Nb-Si-B薄帯を応力下で熱処理し,ナノ結晶化させつつ比透磁率を数百程度に制御した.この応力下での熱処理を最適化することにより試料内には均一な一軸異方性が形成され,従来困難とされていた透磁率の低減と低磁気損失の両立を達成した.作製したコアの磁気損失は,最大磁束密度0.1T,周波数0.1-1MHzの範囲で古典渦電流損失の計算値に一致する程の低い値を示し,市販の透磁率制御型コアよりも80%程度の損失低減が達成された.更に,520K程度の高温下においても,磁気特性の劣化が無いことが確認された. 透磁率制御型Fe-Cu-Nb-Si-Bコアの生産性向上を鑑み,熱処理過程にてあらかじめ加熱した炉内を応力印加した試料を通過させる"応力下連続焼鈍"を適用したところ,10cm/min程度の移動速度で均一な異方性強度を有する長尺ナノ結晶薄帯を作製できることが判明した.より高速での試料作製の指針を得るため,10cm/min以上での試料作製を検討したところ,約3m/minの高速で完全に異方性誘導の完了した試料の作製を実現した.また,高速化に伴って試料の大きな塑性変形が急激に起こることが判明し,試料の破断が生じやすいことわかった.この高速連続焼鈍での研究を通じ,従来,異方性と試料の塑性変形量との間に見られた線形関係が成立しないことが判明し,塑性変形量は異方性の本質的要素ではないことが判明した.温度傾斜の利用等により塑性変形を抑制できれば更なる高速化が期待できる. 応力下連続焼鈍を用いてコア径3mmの小型コアを作製し,高周波特性を評価した.透磁率は3MHzまではほぼ一定の値を示した.磁気損失は理論限界値よりも若干増加したものの,市販の透磁率制御型コアよりも十分低い値であり,高飽和磁化を生かした小型・低損失コアを実現した.
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Research Products
(6 results)