2005 Fiscal Year Annual Research Report
分離型レーザアブレーション法開発による酸化・窒化物・有機ナノ複合構造体の創製
Project/Area Number |
15360171
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
蛯原 健治 熊本大学, 工学部, 教授 (50035060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 知顯 熊本大学, 工学部, 教授 (20136518)
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Keywords | パルスレーザアブレーション / ExBドリフト / ZnO / AZO / OLED / リチュウムイオンバッテリ / LiPON / Alq3 |
Research Abstract |
パルスレーザ堆積法(Pulsed Laser Deposition:PLD)をアブレーションチャンバーと堆積チャンバーに分離して、固体気化条件と体積条件を個別に制御して、堆積基板上に高品位薄膜を作製することを目的として、分離型レーザ堆積(Separated Pulsed Laser Deposition:SPLD)装置を完成させ、一部改良を行い詳細な薄膜作製の実験研究を行った。酸素雰囲気におけるアブレーションチャンバーと堆積チャンバーの圧力を個別に設定し、プラズマプルーム特性、基板への膜堆積の様子を調べた。 また、堆積チャンバーの内部に永久磁石アレー(0,1T)を配置して、荷電粒子の制御を行い、堆積速度の向上、膜質の高品位化、堆積面積の拡大などの実験を行った。更に、基板とオリフィス部に電圧を印加することによりExBドリフトの効果が薄膜特性に与える効果を明らかにした。電圧として、直流、交流60Hz、高周波(10kHz)を印加したが、直流バイアスが良質の膜を与えた。SPLD法による膜は、表面の平滑性、均質性が従来のPLD方より優れており、ヘテロ構造多層ナノ構造体を作製する上で優れた特徴を有する。 従来のPLD法を用いた透明性高導電率ZnO薄膜としてアルミニウム、ガリウムをドーピングしたAl-doped ZnO(AZO)、Ga-doped ZnO(GZO)を作製し、ドーピング量を最適に選んだ結果、87%以上の透明度を有し、抵抗率が10^<-4>Ω・cm程度を有する薄膜を得た。これは現在利用されているITOの特性に匹敵するものであり、実用化に向けた研究を継続している。 PLDにより有機電界発光素子(Organic Light Emitting Device OLED-D)を作製した。Alq_3,TPD薄膜をN_2雰囲気でPLDを用いることにより作製し、通常の真空蒸着法による薄膜より光学特性、蛍光発光特性、膜の均質性が優れていることが分かった。薄膜固体リチウムイオン二次電池の開発として,正極活物質としてマンガン酸リチウム(LiMn_2O_4)薄膜を,固体電解質としてLithium Phosphorus Oxynitride(LiPON)薄膜,負極活物質として酸化バナジウム(V_2O_5)薄膜をPLD法により作製し,その電池の充放電特性は、2サイクル目の放電で1.8V付近で放電が始まり,放電容量は1.05μAh/cm^2という最も良い値を示した.
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Research Products
(19 results)