2003 Fiscal Year Annual Research Report

室温超伝導発現を目指した金超薄膜/C60界面ナノ構造伝導系に関する基礎研究

Research Project

Project/Area Number	15360173
Research Category	Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
Research Institution	Nihon University
Principal Investigator	山本寛日本大学, 理工学部, 教授 (90130632)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	岩田展幸日本大学, 理工学部, 助手 (20328686)
Keywords	室温超伝導 / Au超薄膜 / C60自己組織単分子膜 / MgO(100)基板 / 電気伝導特性 / 抵抗異常
Research Abstract	Ginzburgは2次元系でエキシトンによる室温超伝導の可能性を論じた。Au超薄膜上に分極性の分子膜を作製できば、提案されているモデル物質系となることを我々は期待している。我々はC60誘導体を低次元配列させるプロセスを開発している。ここで提案されるボトムアップ法による低次元配列作製には、基板表面状態が非常に重要である。熱処理されたMgO(100)基板を用い、C60誘導体を金超薄膜基板上に堆積させるために、チオル基とAuとの吸着作用を利用した。吸着したC60誘導体をC60自己組織単分子膜(C60-Self Assembly Monolayer : C60-SAM)と呼ぶ。実験条件ならびにえられた膜の電気伝導特性に関する知見は次のとおりである。実験条件)Au薄膜をMgO(100)基板に作製した。MgO基板は02フロー(0.41/m)中、1000℃で12h熱処理した。薄膜作製にはオンアクシスRFマグネトロンスパッタリング法を用いた。成膜条件は基板ヒータ温度400℃、ガス圧1.2Pa、スパッタ電力20W、スパッタ時間10secとした。作製したAu薄膜基板を溶媒にベンゼン、溶質をC60誘導体とした液層に20h浸し、C60自己組織単分子膜(C60-SAM)を作製した。4端子法を用いて、成膜した薄膜の電気伝導特性を測定した。測定に先立ち、Auの回り込み効果を利用して、極めて狭いAu領域と電極部を同時に形成した。C60-SAMを形成した後、電極部にAuワイヤーボンディングにより端子を取り付けた。知見)1000℃熱処理後のMgO(100)基板の表面はステップテラス構造を示していた。ステップ高さは約1.0nmでMgOの2.5格子と一致する。テラス幅は約1.0〜2.0μmであった。熱処理温度が十分高温であったため、表面エネルギーの低い状態が実現された結果、曲線状のステップ形状となった。RFスパッタにより作製したAu薄膜の表面は下地のMgO基板と同じ形状であった。このAu薄膜上に、C60-SAMを成膜した。その結果、ステップの縁に沿ってC60-SAMが1次元的(ステップの縁に沿った部分)に吸着していることが分かった。また、それは全てのステップに沿って現れていた。その高さは1.0〜1.5nmであった。C60誘導体の高さ2.2nmに対し、若干小さな値である。これは、C60-SAMが、斜めに吸着していると考えると理解できる。 Au膜厚の違いによるC60-SAMの電気伝導特性を評価した。詳細な膜厚は不明だが、数nm程度である。膜厚が薄くなるにしたがって電気抵抗は上昇した。また、膜厚が最も薄いものは、250K〜150Kで通常の金属的抵抗の温度依存性からずれ、異常に減少している。これは、膜厚が薄いところで、エキシトン機構による電気伝導機構の変化が特異な抵抗異常となって現れたものと考えている。

Research Products

(6 results)

All Other

All Publications (6 results)

[Publications] N.Iwata, K.Mukaimoto, H.Imai, H.Yamamoto: "Transport properties of C60 ultra-thin films"Surf.Coat.Tech.. 169-170. 646-649 (2003)
[Publications] N.Iwata, H.Yamamoto: "SYNTHESIS OF SINGLE-CRYSTALLINE C60 ULTRATHIN FILMS BY VACUUM EVAPORATION"Proc.of 1^<st> International Conference on MP3, Eds by K.H.Kho et al., Institute of Materials [East Asia]. 772-779 (2003)
[Publications] 奥山, 金城, 岩田, 山本: "C_<60>低次元ナノ構造超薄膜の形成"電子情報通信学会技術報告. 103・245. 1-6 (2003)
[Publications] 奥山, 金城, 長山, 岩田, 山本: "再蒸発法によるC_<60>超薄膜ナノ構造"電子情報通信学会技術研究報告. 103・411. 27-32 (2003)
[Publications] Y.Shimizu, K.Saito, T.Sakuma, N.Iwata, H.Yamamoto: "Electronic Transport Properties of C_<60> Derivative Self-Assembly Monolayer on Au Ultrathin Film"Trans.of the Materials Research Society of Japan. 29. (2004)
[Publications] H.Yamamoto, N.Iwata, Y.Shimizu: "Nano-Structured C50-SAM Formed on Ultrathin Au Films/MgO Single Crystal"Technical Proceedings of NSTI Nanotech(The Nanotechnology conference and Trade Show, Boston, March 7-11 2004). Vol.3. 441-444 (2004)

2003 Fiscal Year Annual Research Report

室温超伝導発現を目指した金超薄膜/C60界面ナノ構造伝導系に関する基礎研究

Principal Investigator

山本 寛 日本大学, 理工学部, 教授 (90130632)

Research Products

[Publications] N.Iwata, K.Mukaimoto, H.Imai, H.Yamamoto: "Transport properties of C60 ultra-thin films"Surf.Coat.Tech.. 169-170. 646-649 (2003)

[Publications] N.Iwata, H.Yamamoto: "SYNTHESIS OF SINGLE-CRYSTALLINE C60 ULTRATHIN FILMS BY VACUUM EVAPORATION"Proc.of 1^<st> International Conference on MP3, Eds by K.H.Kho et al., Institute of Materials [East Asia]. 772-779 (2003)

[Publications] 奥山, 金城, 岩田, 山本: "C_<60>低次元ナノ構造超薄膜の形成"電子情報通信学会技術報告. 103・245. 1-6 (2003)

[Publications] 奥山, 金城, 長山, 岩田, 山本: "再蒸発法によるC_<60>超薄膜ナノ構造"電子情報通信学会技術研究報告. 103・411. 27-32 (2003)

[Publications] Y.Shimizu, K.Saito, T.Sakuma, N.Iwata, H.Yamamoto: "Electronic Transport Properties of C_<60> Derivative Self-Assembly Monolayer on Au Ultrathin Film"Trans.of the Materials Research Society of Japan. 29. (2004)

[Publications] H.Yamamoto, N.Iwata, Y.Shimizu: "Nano-Structured C50-SAM Formed on Ultrathin Au Films/MgO Single Crystal"Technical Proceedings of NSTI Nanotech(The Nanotechnology conference and Trade Show, Boston, March 7-11 2004). Vol.3. 441-444 (2004)

山本寛日本大学, 理工学部, 教授 (90130632)